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自分の力で生き抜く時代、失敗から学びを

「特集 起業、失敗の後」(4/8号)

 冒頭に「政府が掲げる開業率の目標は10%台。だが実際には5%台と欧米にくらべ低迷」とあった。その理由として日本人の「失敗への恐怖感」が強いことが挙げられている。私自身、「何かあったらどうしよう」という悲観的な発想の人間なので気持ちはよくわかる。

 ただ、そんな気持ちがここ十数年で自分の中で変わりつつある。今までの日本は高度経済成長があったから、その大きな船の中で失敗さえしなければ、ある程度のポストに居続けることはできた。しかし今は、その船自体が突然沈没してしまう時代。これから日本人は、自分の力で何とか生き抜いていかないといけない。そのために必要なのは、失敗して考えて、また次の一歩を踏み出すという気持ちだ。エジソンの言葉のように、失敗ではなく、うまくいかないパターンがまた一つわかったというように捉えることだ。

竹内 祐司(愛知県、会社員、56歳)

編集部から

 取材では多くの起業経験者と会いましたが、彼らは口をそろえて「失敗を次に生かせる社会」の実現を訴えていました。一度失敗すると周囲の目は厳しくなり、資金や人を集めにくくなるのが現状です。失敗を通じた学びを今度こそ人のために生かしたいと考える起業家は数多くいます。自分自身が挑戦することは怖くても、周囲の挑戦者をたたえることはできる――。そうした意識の醸成が第一に必要なのではないかと思います。

津久井 悠太

日経ビジネス2019年5月20日号 101ページより目次