九州本島最南端の鹿児島県南大隅町で、100年以上親しまれてきた商店を昨年末に閉店した。店周辺はかつて林業などで栄えたが、人口減少で小中学生がいなくなり、90歳を目前に決断した。「地区のためにやり切った」と語る一方、地区唯一の店がなくなった今後の影響を心配する。

西村 タミ子氏
鹿児島県の南大隅町は九州本島最南端の佐多岬のある静かな町です。私が切り盛りしてきた西村商店は同町佐多郡地区で唯一の商店でしたが、昨年12月31日で長い歴史に幕を閉じました。地元で長く親しまれてきただけに寂しさはありますが、今はやり切ったという気持ちです。

西村商店を始めたのは義理の祖父だとされていますが、詳しい創業年は伝わっていません。ただ、少なくとも100年以上前からこの地にあったのは間違いありません。周囲はかつて林業が盛んで、創業期の店も汽車の枕木となる木材などを扱っており、それと同時に馬車に焼酎のおけを積んで商売していたようです。
義理の父母の代になってからは、乾物や駄菓子、反物などの衣料品も扱うようになりました。私は西村家に嫁いで70年ほどになります。結婚した時、夫は義理の父母と一緒に西村商店で働いており、私も加わり、そしてここまで続けてきました。
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