米芸術家アンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」を、鳥取県として税金で購入することを主導した。だが、県財政が厳しい中で3億円もの巨額支出となり、県民から批判が殺到した。2025年春に開館する鳥取県立美術館の目玉として展示予定だが、今も県民への説明に追われている。

[鳥取県立博物館の元館長]
尾崎 信一郎氏
1962年生まれ。大阪大学大学院修了。87年から兵庫県立近代美術館に勤務。2021年に鳥取県立博物館館長に就任し「ブリロの箱」の購入を主導。22年から鳥取県教育委員会の美術館整備局で美術振興監を務める。

 米国のポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルの作品「ブリロの箱」を3億円で計5箱購入したところ、高額すぎると批判の言葉を頂きました。正規の手続きを踏んで購入したものですが、事前の説明や周知が足りなかった点については反省すべきだと思っています。

 (2022年に)開館50周年を迎えた鳥取県立博物館には自然部門、歴史部門、美術部門があります。それぞれ鳥取県にゆかりのある生き物や伝統行事、画家の作品などを展示しています。そして、博物館の美術部門を独立させる形で、25年春に鳥取県で初となる県立美術館が設立されます。設立が決まった5~6年前から目玉となる作品を探していました。

鳥取県が購入したブリロの箱。5箱のうち右上の1点はウォーホルが1968年に制作した希少なもので、残りの4点は彼の了承のもと死後に作成された(左)。美術館の開館までは鳥取県立博物館に収蔵されている(右)
鳥取県が購入したブリロの箱。5箱のうち右上の1点はウォーホルが1968年に制作した希少なもので、残りの4点は彼の了承のもと死後に作成された(左)。美術館の開館までは鳥取県立博物館に収蔵されている(右)
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