喫茶店に置かれ、たばことともに親しまれた「ブックマッチ」を国内で唯一製造していたが、昨年終了した。喫煙人口の減少で需要は減り続け、製造装置を動かすのは年間わずか3、4回だった。マッチ業界全体でも先行きは厳しいが、不易流行を胸に刻んでマッチ製造の火はともし続ける覚悟だ。

[日東社専務取締役]
大西 潤氏
1992年兵庫県生まれ。慶応義塾大学卒業後、リンクアンドモチベーションを経て家業を継ぐために日東社に入社。次世代管理職の育成やウエットティッシュの工場新設などを担当。テニススクール「ノアインドアステージ」などの業務も手掛ける。
ブックマッチは喫茶店などによく置かれていた昭和の象徴
ブックマッチは喫茶店などによく置かれていた昭和の象徴

 本のように二つに折り畳んだ表紙に挟まれた「ブックマッチ」を国内で唯一製造していましたが、2022年6月末に終えました。ブックマッチは1890年代に米国で発明され、日本では1964年の東京五輪後に需要が増えました。当社は、73年に兵庫県姫路市で製造を始めました。喫茶店やホテルで、たばことともに親しまれ、その店のロゴなどを印刷し広告の役割も果たしてきました。

 製造終了を取引先にご連絡したのは2021年6月のこと。業界の方々は事業の厳しさをご存じだったので「しょうがないね」と反対する人はいませんでした。ところが驚いたのは一般の方からの反応です。ツイッターで生産終了を発表したところ、かつて使ってくださった方から「寂しい」「古き良き昭和の象徴がなくなる」と予想以上の反響がありました。

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