「焼き牛丼」で一世を風靡した「東京チカラめし」が、“創業の地”である東京から消えた。急速な拡大路線が裏目に出て、商品、サービスの両面で質の低下を招いたのが敗因だ。残るは千葉県と大阪府の2店舗のみだが、「数年以内に東京に戻る」と巻き返しを誓う。

[SANKO MARKETING FOODS 東京チカラめしビジネスユニット長]
菊地美千子氏
1989年大阪府生まれ。都留文科大学卒業後、2012年三光マーケティングフーズ(現SANKO MARKETING FOODS)に入社し、東京チカラめし配属。17年2月、新宿西口1号店の店長に昇格。21年10月から現職。

 2022年8月28日、東京都内最後の店舗となる「東京チカラめし 新宿西口1号店」が閉店しました。

 13年には全国130店舗以上を展開していましたが、その後は年々減少し、今や新鎌ヶ谷店(千葉県鎌ケ谷市)と大阪日本橋店(大阪市)の2店舗のみ。東京チカラめしという名前にもかかわらず、東京に店がないという状況になってしまいました。

 東京チカラめしは、居酒屋チェーン「金の蔵」などを展開する三光マーケティングフーズ(現SANKO MARKETING FOODS)が11年6月に立ち上げた焼き牛丼の業態です。東日本大震災後で閉塞感が広がる日本社会に「東京からチカラを与えたい」と、東京・池袋に1号店を開いたのが始まりです。牛肉を煮るのではなく、鉄板で焼く新しい牛丼のスタイルがヒットし、一躍人気店に。勢いそのままに出店を重ね、12年9月には100店舗を達成しました。

出店ラッシュで質が低下

 私は12年、新入社員として東京チカラめしに加わりました。当時はまさに出店ラッシュのさなか。直営で次々と新店舗をオープンしていったため、人手が足りず、金の蔵など他業態から異動して応援に入る先輩も珍しくありませんでした。

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