太平洋戦争の戦没者遺族の代表として4選を目指したが、知名度が浸透せずに落選。「遺族の高齢化は敗因ではない」とするが、戦争が忘れ去られようとしていると危機感を抱く。3年後に戦後80年の節目を控え、外地の戦没者の遺骨収集を急ぐべきだと訴える。

水落敏栄氏
7月の参院選比例区で落選しましたが、結果を検証したところ、日本遺族会自体はよく健闘したと分かりました。主な敗因は(候補者選定の調整に時間がかかって)5カ月しか選挙運動の時間が取れなかったこと。そもそも新型コロナウイルス禍で遺族会活動があまりできていなかったこともあります。短絡的に「遺族が高齢化したのが敗因」ということには強く否定したい。
とにかく、(後援会入会者の裾野を)広げる機会がありませんでした。今までは選挙の1年以上前から後援会活動を周知し、入会を呼びかけるので、得票ゼロの市町村はあまりありませんでしたが、今回はゼロの市町村がそれなりにありました。
非拘束名簿式も敗因に
参院選比例代表(非拘束名簿式)の選挙制度の難しさも要因になったように思います。遺族会活動が一番活発だった昭和50年代に拘束名簿式に変わったので、いまだにこの制度が続いていて、政党名を書けばいいと思っている遺族が相当数います。仮に「水落」に投票しようと思っていただいても、有権者は「(名前でなく)自民党でもいいのかな」と思ってしまったのです。
ちなみに衆院選では比例代表は党名でしか投票できません。去年10月の衆院選では党名で投票してくださいとお伝えしているので、「今度は党ではなく個人名を書いて」といっても(有権者が)戸惑ってしまう。私の地元、新潟県十日町市でさえ、個人名での得票が5359票だったのに対し、約7000票が自民党と書かれていました。選挙期間中は「必ず名前を書いてください」と呼びかけましたが、大きな敗因の一つになりました。
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