新型コロナウイルス禍の中で開業した都市型の「カワスイ 川崎水族館」(神奈川県川崎市)。既存の商業ビルに入った日本初の水族館として注目されたが、2年足らずで破綻した。いったん魚を入れると停止はできず、維持費が重荷になった。新たな運営会社のもとで再出発している。

小川泰史氏
「カワスイ 川崎水族館」は、駅前や中心市街地に立地するいわゆる都市型水族館です。JR川崎駅前の商業施設「川崎ルフロン」の9・10階に入っており、広さは約7000m2。多摩川、オセアニア・アジア、アフリカ、南米、アマゾン、それにパノラマスクリーンの6ゾーンに分け、淡水魚や爬虫(はちゅう)類など約300種の生きものを展示し、私は現場責任者として館長代理を務めています。

黒字はたったの2カ月だけ
新型コロナウイルス禍が発生して間もない2020年7月にオープンしました。緊急事態宣言や外出自粛要請のもと、入館者数の制限や営業時間の短縮が重なり、厳しい経営状況が続きました。一般的に水族館はオープン後にたくさんの入館者を数え、そこから徐々に落ち着いていくのですが、コロナ禍で集客を望めず、黒字を達成したのは開館直後の2カ月だけで、年間来館者数も初年度は想定の半分以下となりました。
飲食店やグッズショップで収益を得られなかったのも痛かった。資金繰りの悪化に歯止めがかからず、22年3月に運営に関わった水族館企画会社、アクア・ライブ・インベストメントとグループ会社が民事再生法の適用を申請。運営は7月から、アイ・レジャー・エンターテインメント(川崎市)に変わりました。多くの方々にご心配とご迷惑をお掛けし、おわび申し上げます。
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