ホテル予約の売買サービスを手掛けていたCansellが、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けた。宿泊する権利の売り買いという仕組みは斬新だったが、新型コロナウイルス禍の影響は予想以上だった。新規事業の立ち上げや資金調達に奔走したが、将来像を描けず、破産を決断した。

[Cansell元社長]
山下恭平氏
1985年横浜市生まれ。ネットワークエンジニア、映画チケット共同購入サイトの運営やヤフー社員を経て、2016年にCansellを創業した。現在、新たな事業の立ち上げに向けた準備を進めている。

 2022年3月18日、キャンセルしたい宿泊施設の予約を簡単に売買できるサービスを終了させました。背景にはコロナ禍による旅行・宿泊業界の不況がありますが、私自身の至らなさが破産の最大の要因です。新規事業に手を出したことで会社の寿命を早めてしまったのではないか、他の引き際もあったのではないか、などCansell(キャンセル)を創業した日まで立ち返っても反省すべきことは多いです。ですが、やるべきことはやった結果で、悔いはありません。

 就職活動をしていた頃から「いつかは起業したい」と考えていました。大学を出てシステムインテグレーターでエンジニアとして働いていましたが、起業への興味が抑えきれずに12年、偶然出合った映画チケットの共同購入サイトを運営しているスタートアップ企業に入社。サービスの設計・運営からエンジニアの管理、カスタマーサポートまで何でもやりました。そこが13年にヤフーに買収され、私も同社に移りました。ヤフーで出会った同僚2人と、16年に立ち上げたのがキャンセルです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1845文字 / 全文2543文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「敗軍の将、兵を語る」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。