徳島市で地場産業を盛り上げてきた公益財団法人が解散した。活動拠点だった施設の改修に多額の費用がかかり、行政が閉館を決めたことなどがきっかけとなった。法人運営のための補助金も削られ、40年以上続いた活動の幕を閉じた。

上杉和夫氏

木工や染物などの事業者でつくっていた公益財団法人、徳島市地場産業振興協会は2021年11月末で解散しました。1979年の設立以来、40年以上続いた団体であり、理事長を務めていた私にとってはつらい判断となりました。立ち上げから長く支えてくれた先輩や職員に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
徳島には様々な地場産品があります。家具や仏壇などの木工製品のほか、衣料など藍染め製品、肌ざわりのよいしじら織もあり、職人が技術を伝承して製作し続けてきました。

協会は地場産業の振興を目的に、長く徳島市立木工会館に事務所を置き、指定管理者として会館の管理運営を担ってきました。ここで製品を販売したり、企画展を開いたりするなど販路開拓や商品開発、人材育成に取り組みました。
木工会館の閉館が契機に
解散のきっかけの一つは、市議会が会館の機能を徳島駅前のビルに移転して、新たに徳島市産業支援交流センターを設置する条例案を2019年に可決したことです。これにより会館は閉館が決まりました。
会館は1982年に完成した施設で、耐震性の問題などからそのまま使い続けるのが難しいというのが閉館の理由でした。協会としては、耐震工事によって活用し続けることを希望していました。
私たちが会館にこだわったのは、建物のある場所が地場産業にとって重要な地だからです。
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