新型コロナウイルス禍への対策に伴い、日本への留学を敬遠する外国人が目立った。日本語学校の在籍者数は大きく減少し、業界は存続の危機にひんしている。外国人とどう共生していくのか、行政は社会を巻き込み本気で考えるべきだと訴える。

[日本語学校ネットワーク代表理事]
大日向和知夫氏
1955年生まれ。78年学習院大学卒業後、教育企業などを経て84年に日本語学校のアカデミー・オブ・ランゲージ・アーツを設立。2021年に代表・校長を退く。現在は1997年から務める現職のほか、日本語学校協同組合理事などを担う。

 SAKOKU──。かつて津波という言葉がそのまま「TSUNAMI」として世界中に広まったように、今、海外から日本への留学を考える学生の間で、こんな言葉が定着しつつあります。新型コロナウイルスの感染拡大を機に、日本政府は外国人の新規入国を大きく制限してきました。

 日本語学校はおおむね1〜2年間の課程で留学生などに言語のほか、日本の文化やマナーも教え、日本の大学などへの進学や就業を後押しします。ただ、コロナ禍が巻き起こって2年の間、留学生の新規受け入れはほぼ停止しました。

 私が代表理事を務めている「日本語学校ネットワーク」を含めた6つの日本語学校の業界団体による共同調査の結果を見ると、2022年5月時点の在籍者数が10人以下になる見通しの学校が全体の6割に及び、3分の1はゼロになってしまうといいます。業界は存続の危機にひんしているのです。

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コロナ禍、最大級の逆風

 少し過去を振り返ってみましょう。1980年代、当時の中曽根康弘内閣が21世紀初頭までに留学生受け入れを10万人に拡大させるいわゆる「10万人計画」を掲げたことを機に、日本語学校は各地で続々と誕生しました。

 就学と偽ったいわゆる「出稼ぎ」の外国人の受け皿となってしまっていた学校も一部あり、これに対応するため法務省が実施したビザ発給の審査基準の強化を巡って中国・上海の日本総領事館周辺で大規模なデモが発生する事態に至ります。

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