2021年秋に高校野球の東海大会で決勝に進み、「センバツ出場」が有力視されていたがまさかの落選。東海大会の決勝進出校が選ばれなかったのは1978年以来、44年ぶりの出来事だった。なぜこんなことになってしまったのか──。監督として、今も疑念が尽きないという。

[聖隷クリストファー高校・野球部監督]
上村敏正氏
1957年静岡県天竜市(現浜松市)生まれ。早稲田大学教育学部卒。選手として75年夏に甲子園出場。監督としては静岡県立浜松商業、同掛川西高校時代に8度の甲子園出場。2017年より聖隷クリストファー高校・野球部監督。

 2022年3月に開催された第94回選抜高校野球大会に当校は選出されませんでした。正直に言って、今でもこの結果を受け止めることはできていません。当校よりも個々の能力に勝るチームを選んだという選考委員会の説明に納得ができない。夏の大会もありますが、今はそこに気持ちを切り替えられないでいます。

 当校の歴史は戦前にできた結核患者の療養施設が始まりです。戦後に看護婦の養成所を経て、高校や短期大学を開きました。私が野球部の監督に就任したのは17年秋。それまで選手時代も含め50年近く高校野球に携わり、当校での監督業は野球人生の集大成という気持ちで臨んできました。いつの日か、この学校の歴史や建学の精神を全国に発信したい。そこに私の使命があると思い、甲子園出場を目指してきたのです。

学校だけの問題ではない

 聖隷グループは、全国で病院や高齢者施設など医療福祉施設も運営しています。そこで暮らしている高齢者、障害のある方々も野球部を応援してくれた。高校のある浜松市では約20年もの間、甲子園に出場した学校が無かったので、皆が出場を心待ちにしていました。病院には「甲子園出場」ののぼりを掲げる予定でしたが、徒労に終わりました。皆様には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 本大会の出場校が発表される1月28日の朝は落選するなどとは夢にも思っていませんでした。「さあ、今日は甲子園出場が決まる」と選手にも言っていた。発表の始まる午後3時から校内に設けた会見場で吉報を待ち続けていました。

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