日本最大級の音楽イベント「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル(ロッキン)」。2000年から茨城県ひたちなか市で開かれ、ロックの聖地といわれたが、今後は開催地が千葉県に移る。失われる経済効果は約11億円に上り、地元事業者は観光面の集客策などを練り直す。

[ひたちなか市観光協会会長]
海野泰司氏
1989年東京YMCA国際ホテル専門学校卒業、藤田観光入社。94年長寿荘入社、2008年から同社代表取締役。18年にひたちなか市観光協会会長就任。地元企業として初期から「ロッキン」に携わってきた。茨城県出身。

 2021年末、ロッキン総合プロデューサーの渋谷陽一さん(ロッキング・オン・グループ代表)から直接、「開催地が今後、ひたちなかから千葉に移ります」というお話をいただきました。そのときはやはり、非常に残念で寂しかった。

 20年は新型コロナウイルス禍で開催できませんでした。21年も、感染対策面の問題から2年連続で開けなかった。何とかひたちなかや茨城をもう一度盛り上げるため、22年こそは、と開催に向けて受け入れの準備を進めていました。

 もともとロッキンと地元のつながりを深めるためやってきたことがあります。例えば、ひたちなか青年会議所が00年代半ばから高校生アマチュアバンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 」を開いていて、審査員にはロッキンの関係者が入っています。また、優勝バンドがロッキン初日の1番目のステージに立てるというつながりも生まれました。

JR勝田駅前にはフェスを象徴するオブジェがある
JR勝田駅前にはフェスを象徴するオブジェがある

 最近はフェスティバル関係者のための歓迎パーティーの準備を進めつつ、JR勝田駅前のROCKオブジェに次ぐ仕掛けとして、音楽アーティストの手形を飾る構想なども練っていた。そんな矢先の開催地移転でした。

公園の構造に課題

 渋谷さんからは会社の経営が厳しいという趣旨の説明を受けました。コロナ禍でカウントダウンイベントが2度中止。ロッキンも21年はひと月前の中止決定でしたから、かなりの損失が出たと。感染防止の点で、これまでの国営ひたち海浜公園と比べ、22年から開く千葉市蘇我スポーツ公園のほうがコンパクトに開催できるという話でした。

 海浜公園では7万人収容の巨大ステージと、そこから離れた複数の小さなステージで構成される。巨大ステージから人が流れていく形で、移動がほとんどない環境はつくれない。千葉は5万~6万人収容できるエリアに2つステージを立てられ、数分の移動で済むエリアにも2つのステージが用意できるとのことです。

 ロッキンは20年間続いたイベントでしたが、海浜公園にはそもそも広い意味のインフラに課題があったのかもしれません。千葉市での開催であれば、スタッフは東京周辺の自宅から移動できますから、これまでのように宿泊して会場を設営するといった負担が減ります。

 21年の開催前、茨城県医師会がロッキンに「感染拡大状況に応じて、開催の中止または延期を検討すること」などを要請しました。その5日後に中止が発表されたため、茨城県医師会が開催地移転の原因だといわれますが、私はそれが直接関係したとは思いません。