宴会の余興やテレビ番組でおなじみのラバーマスク。国内唯一のメーカーが年内で生産を終了する。宴会需要の低迷にコロナ禍が売り上げ減へ拍車をかけた。

[オガワスタジオ社長]
田中尚生氏
青森県生まれ。山形大学大学院で分析化学を専攻。宮城県の中小企業や非鉄金属大手などに勤務後、ハヤカワカンパニー(名古屋市)に入社。同社関連会社のオガワスタジオ(さいたま市)の工場長を経て、社長に就任。

 当社は前身の小川ゴム工場に始まり、1905年からゴム製品を作ってきました。当時はゴム風船がメインでしたが、現在の主力製品は宴会の一芸やイベントの際に着用する「ラバーマスク」です。問屋さんに卸し、最終的には主にドン・キホーテさんなどで取り扱ってもらっています。

<span class="fontBold">宴会の一芸やイベントの際に着用する「ラバーマスク」を国内で唯一作り続けてきたオガワスタジオ。人の手で一つひとつの製品を作り上げてきた</span>
宴会の一芸やイベントの際に着用する「ラバーマスク」を国内で唯一作り続けてきたオガワスタジオ。人の手で一つひとつの製品を作り上げてきた

 2代目の社長が米国で出合ったラバーマスクに「これは面白い」ということで目を付けたのが当社におけるラバーマスク生産の始まりです。ちょうど映画「猿の惑星」(1968年公開)がはやったころ。それまでのマスクはプラスチックのお面が主流でしたから、物珍しさもあって話題になったようです。それ以降、ゾンビ系、そして政治家やお笑い芸人など幅広い種類のマスクを手がけてきました。

宴会で騒ぐ文化が消える

 ただ、年々需要は落ち込んできていました。宴会やイベントなどでこういったマスクをかぶって騒ぐという文化がだんだんなくなってきた。そこに、新型コロナウイルス感染症の流行にとどめを刺されたわけです。

 決め手となったのが7、8月。例年あるはずのハロウィーン関連の受注が全然というくらい入ってこなかったのです。ホラーマスクを作ったり、既製品の色を変えたりしましたが、問屋側からの反応はほとんどありませんでした。

 昨年は例年の半分以下の受注量でしたが、今年はさらにその半分くらいでした。従来は1000枚くらい出ていた、笑顔のカボチャを模した「ニコニコかぼちゃん」という定番商品が300~400枚出たくらい。その時点で、今年いっぱいで操業をやめようという決断に至りました。

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