コロナ禍で飲食店や旅館の休業が長引き、京都の水産仲卸業者が危機に直面している。売り先が休業する中でも水産物を買い支えてきた結果、資金繰りは限界を迎えている。緊急事態宣言は解除されたが、明るい展望は見えない。政府による赤字補償を強く求める。

[京都全魚類卸協同組合理事長]
勝村一夫氏
1956年京都市生まれ。79年に京都工芸繊維大学を卒業し、妻の実家の日ノ丸水産に入る。2003年に社長に就任。事務所のある京都府園部町の教育委員も務めた。18年から現職。全国水産物卸組合連合会の副会長も務める。

 コロナ禍で飲食店や旅館の休業が長引き、私たち水産仲卸業者は危機的事態に陥っています。食の安定供給を支えるという使命感と、長い伝統を持つ京都の食文化を守ろうという気概から歯を食いしばってきましたが、限界を迎えつつあります。

 中央卸売市場には卸売市場法に基づいて「受託拒否禁止」が課せられています。飲食店や旅館が閉まって、私たち仲卸業者には売り先がないのに、産地からは取れた魚が市場に届く。それでも、要らないからといってこの魚を産地に返してしまうことは法律上できないのです。このため、昨年4月に1回目の緊急事態宣言が発せられて以来、私たちは売り先がない魚を買い支えてきました。

<span class="fontBold">競りを通じての水産物の評価と価格決定も仲卸業者の重要な役割だ</span>(写真=PIXTA)
競りを通じての水産物の評価と価格決定も仲卸業者の重要な役割だ(写真=PIXTA)

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