沖縄はコロナ禍で4月からまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が継続。宿泊施設の経営環境が厳しい中、開業ラッシュも重なる。観光立国を掲げる国、県などの支援策はまだまだ足りない、と訴える。

[沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合理事長]
宮里一郎氏
1947年沖縄県生まれ。71年に国士舘大学卒業後、家業の沖縄ホテルに入社。2代目社長を務めた後、現在、会長。2001年から同組合の理事長。那覇市観光ホテル旅館事業協同組合理事長、那覇市観光協会会長も兼務する。

 沖縄県では4月以降、政府のまん延防止等重点措置や緊急事態宣言が切れ間なく続いてきました。関東などでの感染拡大も重なり観光客数の減少が続き、夏の観光シーズンは2年連続で大打撃を受けました。一方、宿泊施設の開業はコロナ禍でも相次いでおり、ホテルや旅館の経営はかつてない厳しさとなっています。

 4月12日に沖縄県が特措法に基づくまん延防止等重点措置の対象地域に指定されたとき、正直なところ、「夏休みまで期間があるので、何とかなるのではないか」と思いました。しかし、そうはいきませんでした。新型コロナウイルスの感染は収束するどころかますます拡大。その結果、まん延防止等重点措置は2回延長となりました。他の地域で感染が収束しても沖縄は収まらず、5月23日から緊急事態宣言の指定となりました。

県民性が裏目に出た可能性

 沖縄は横のつながり、親戚同士のつながりを大切にする県民性があると思います。普段ならばすごくいいことなのですが、コロナ禍でも親戚が集まったり、居酒屋で仲間が集まったりすることが、感染拡大につながった可能性も否定できません。

 沖縄県の人口当たりの新型コロナウイルスの感染者数が全国1位となる一方、東京都などの大都市周辺でもデルタ株が拡大。宿泊施設は直前のキャンセルが一気に増加しました。

 沖縄の入域観光客数はこのところ1年を通して平準化してきていますが、それでも夏はいまだハイシーズンです。宿泊業にとって重要な時期がコロナ禍によって2年連続、大打撃を受けたことになります。

 沖縄県でのまん延防止等重点措置や緊急事態宣言による行動制限の期間は9月中旬で連続5カ月を突破。米国の同時多発テロなどの時にも一定の期間、観光業に影響が続いた経験はありますが、これだけ観光への影響が長引くのはコロナ禍が初めてです。全国的にはマイクロツーリズムを進める動きもありますが、地形的に離れた沖縄の場合は難しく、宿泊業は打つ手が見つかりません。

 さらに、意外と思われるかもしれませんが、沖縄ではコロナ禍でもホテルの開業ラッシュが続いています。コロナ禍前に計画された施設が大半ですが、私たちが把握しているだけで、2年ほどで30軒ほどの施設が新たにできる見込みです。当然ながら新しい施設の開業はそれまで営業を続けてきた施設にも影響しています。

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