国が、堂島取引所のコメ先物取引市場を常設化する本上場移行を不認可とした。国内唯一のコメ先物を試験的に取引してきたが、廃止されることに。300年弱続いてきた堂島のコメ先物の歴史が再び途絶えた。

[堂島取引所社長]
中塚 一宏氏
1965年生まれ。京都大学工学部卒業後、議員秘書を経て、2000年の衆議院選挙に自由党から出馬して初当選。その後、民主党員となり、金融担当特命大臣などを歴任。SBIエナジー社長などを経て、21年4月から現職。

 10年間、試験期間を続けてきたコメの先物取引が廃止されることになりました。堂島取引所(8月10日に大阪堂島商品取引所から社名変更)は今年7月、試験上場から本上場への移行を農林水産省に申請していました。ところが農水省は8月6日、「取引者が少ない」などとしてこれを認めませんでした。我が国のコメ先物は姿を消します。

 これまでコメ先物を利用していただいた農家の方々には本当に申し訳ない気持ちです。当取引所が株式会社に移行した今年4月から社長として奔走してきましたが、この場を借りて申し上げたいことがあります。

10年前と変わらぬ農業政策

 先物取引の試験上場は、「コメの需給調整や価格維持という従来の政策とは異なることをやる上で、先物が必要」という国の認識の下、進められてきたはずです。今回の結果は、日本の農業政策は昔と全然変わっていないことを浮き彫りにしています。

 10年前、政治家だった私は民主党の金融担当特命大臣として総合取引所の合意を取りまとめました。金融庁、農水省、経済産業省で金融商品を一元的に扱えるようにしようというものです。そのとき農水省は、「コメは需給調整をしているから金融商品ではない」と主張しました。あれから10年がたち、世の中は激変しましたが、農業政策は全く変わっていません。

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