豊橋市の老舗料理店「鯛松」が23年の歴史に幕を下ろし閉店する。全国の飲食店同様、コロナ禍が長引き、経営に重くのしかかった。金融機関とも相談し、今後は、新しい業態に乗り出し、再起を図る。

[鯛松代表]
野呂 功氏
1957年北海道室蘭市生まれ。76年に室蘭工業高校を卒業し、就職のため名古屋に移住。機械メーカーを経て、料理の道に入った。関西の料亭やホテルで日本食の修業を積み、98年に豊橋市で「鯛松」を開業した。

 豊橋市という土地柄もあり、自動車業界や機械工業関係の方々に接待で利用していただいてきました。しかし、新型コロナウイルスによって度重なった緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などを受け、飲食店への客足が遠のきました。本当に残念ですが、8月いっぱいで店を閉めようと決断しました。

 全国的にコロナ騒動が広まった2020年3月には、一気に売上高が従来の1割程度まで急減。あの時は目の前が真っ暗になる思いでした。店の3階には宴会場があり、100人規模の宴会が開けます。その稼働率は店の収益に大きく影響します。もちろん大規模な宴会は、歓送迎会のシーズンや納涼など季節性があります。一方、そうした変動の波が比較的穏やかだった個室の予約なども、減ってしまいました。

 当時はまだ公的な支援金も届かず、生活費にも事欠く状況を迎えました。うちは新鮮な魚介類などを扱っていますが、取引先業者にも「まだ支援金が入らないから支払いを待ってください」とお願いせざるを得ませんでした。

<span class="fontBold">日本料理店「鯛松」は、大将が自ら釣った魚をさばくのも魅力。女将さんと夫婦二人三脚で切り盛りしてきた</span>
日本料理店「鯛松」は、大将が自ら釣った魚をさばくのも魅力。女将さんと夫婦二人三脚で切り盛りしてきた

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1963文字 / 全文2606文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

オリジナル動画が見放題、ウェビナー参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「敗軍の将、兵を語る」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。