4月の名古屋市長選で35万票余りを集めて、知名度に勝る河村たかし市長に肉薄した。河村氏の対決型の政治手法を厳しく批判し、市政刷新を訴えたが、一歩及ばなかった。国や県と連携した産業政策が名古屋市には必要だと改めて強調する。

[元名古屋市議]
横井利明氏
1961年名古屋市生まれ。84年に東京学芸大学教育学部を卒業し、90年まで名古屋市内で小学校教諭を務める。91年に名古屋市議に初当選し、以降8期連続当選。市議会議長や自民党名古屋市議団長を歴任した。

 幅広い支持を頂きながら、勝ちきれなかったのはひとえに私の責任です。「35万票も取ったのだから」と労ってくれる方もいますが、選挙には勝ちか負けしかありません。過去12年間停滞していた市政を正常化させ、名古屋を日本のトップランナーにまで持っていきたいという思いを実現できませんでした。有権者の皆さんに対する責任を果たせなかったことを非常に悔しく思っています。

<span class="fontBold">4月の名古屋市長選で35万票余りを獲得。過去4回の選挙では、圧倒的な票差で次点候補を下してきた河村たかし市長に対し、得票率で6.2ポイント差にまで迫った</span>(写真=共同通信)
4月の名古屋市長選で35万票余りを獲得。過去4回の選挙では、圧倒的な票差で次点候補を下してきた河村たかし市長に対し、得票率で6.2ポイント差にまで迫った(写真=共同通信)
(写真=共同通信)
(写真=共同通信)

 今回の選挙を通じて、改めて現職の壁の厚さを痛感しました。1期4年間、3期なら12年間、毎日のようにテレビや新聞に顔や名前が出るわけです。名古屋といったら河村たかし、愛知といったら大村秀章。一方の私はといえば、市議会で目立った発言をして、メディアに取り上げられたことも何度かありましたが、やはり「名古屋の横井利明」とはならない。

 国政選挙となれば、政党の支持率による浮き沈みもありますが、地方自治体トップを選ぶ首長選挙ではそうした要素も薄い。しかも選挙戦はたった2週間です。選挙対策事務局長のような立場で過去の市長選にも関わってきましたが、当事者になってみて、現職に挑む戦いの困難さを思い知りました。

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