JR各社が一部駅間の回数券廃止を打ち出し、チケットショップ業界が揺れている。売り上げの3~4割を占める重要商材だけに、経営が傾く業者も出かねない。強く意義を訴えるとともに、新しい時代に合わせたチケットショップ像も模索する。

[日本チケット商協同組合理事長]
深尾一広氏
1963年生まれ。86年、森ビル観光(現・森トラスト・ホテルズ&リゾーツ)入社。98年にライフコーポレーション(滋賀県草津市)創業、99年に「チケットライフ」の展開を開始。2018年に日本チケット商協同組合理事長に就任。

 JR東海が東京・新横浜・名古屋・京都・新大阪の各駅間の回数券を廃止するとの方針について断固、反対しています。私たちチケットショップにとって、新幹線や在来線の回数券は重要な商材です。一般的には鉄道など交通機関の回数券は売り上げの3~4割を占め、決定的に重要な商材なのです。もしこのままなくなれば、日本チケット商協同組合の加盟社のなかにはやっていけないところが相次ぎかねません。

JR東日本は2021年3月末で新幹線自由席回数券の販売を終えた。指定席も6月末で終了する。時代に合わせ様々な稼ぎ方を生み出してきたチケットショップ。今後は「チケットの枠」を超えた商売にも力を入れる

 過去、消費税導入の際には、内閣府の消費者委員会を通じ意見を述べる機会がありましたが、今回の新幹線回数券の廃止は全く事前の調整がなかったのです。仕方がないことかもしれませんが、チケットショップにとっての回数券の重要性は訴えていきたい。企画乗車券は自由に廃止できるでしょうが、普通回数券の廃止には当局の許可が必要な立て付けです。機会があるなら、異議申し立てをしたいと考えています。

顧客を切り捨てる行為

 そもそも、新幹線の回数券廃止に関して言えば、インターネット予約に誘導して会員として顧客を囲い込みたいとの意図は理解します。ただ、新幹線を利用したいお客様のなかにはクレジットカードを持たない、持てない人もいます。高齢などでネット予約のやり方、仕組みを理解できない人が数多くいます。こうした方々が、私たちのショップでチケットを購入してくれているのです。こうした層を切り捨てる実質的な値上げではないでしょうか。

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