「イカの街」函館がスルメイカの漁獲量の記録的な減少に直面している。背景には中国船の漁獲量の増加と、彼らの資源保護を考えない姿勢がある。日本海沿岸諸国による国際的な取り組みが必要だと訴える。

[函館頭足類科学研究所所長]
桜井 泰憲氏
1950年岐阜県生まれ。北海道大学水産学部卒業。専門はタラ類、イカ・タコ類などの水産海洋学。国内のイカ研究の第一人者として知られ、2016年4月から現職。北海道大学名誉教授。

 「イカの街」として知られる函館のスルメイカ漁がかつてない不漁に見舞われています。主な原因は中国漁船による日本海でのスルメイカの大量捕獲であり、今の状況が続けば海洋資源の回復は当分見込めなくなります。今季の漁は6月からですが、私は大きな危機感を持っています。

中国漁船が取り過ぎる

函館市内で販売されるスルメイカ

 スルメイカは日本で最も多く取られているイカであり、生鮮としてだけでなく、スルメや塩辛、さきイカなどいろいろな加工食品にもなっています。イカの中ではいわゆる「大衆魚」的な存在であり、日本の食卓でもよく知られています。

 日本周辺のスルメイカの回遊ルートは主に2パターンがあります。一つは対馬海峡付近から日本海を北上し、秋に南下する「秋生まれ」。もう一つが太平洋を北上し北海道東部を回って10月以降に南下する「冬生まれ」です。漁獲の多くを占めているのは日本海の秋生まれですが、函館に近い津軽海峡付近は秋生まれのほか冬生まれの一部も回遊しています。いわばイカの交差点のようなところであり、好漁場となっています。

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