新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、音楽業界が苦境に陥っている。日本の音楽シーンを傍らで見守り続けた若手ミュージシャンの登竜門的ライブハウスも例外ではない。生活様式の変化に即した新たな「小屋」のあり方を模索し始めている。

落合 壽年氏
我々が運営するライブハウス「RUIDO(ルイード)」の歴史は約50年にわたります。源流は1972年に開業した「新宿ルイード」です。シャネルズや佐野元春さんなど、そうそうたる面々がステージに立ち、尾崎豊さんのデビューライブの地でもありました。
新宿ルイードは87年に閉店しましたが、89年には「原宿ルイード」が開店。2000年代に入ると音楽フェスの人気が示すように、客同士が密集しながら一体感を感じつつ、音楽を楽しむという文化が盛り上がり、ライブハウスの数も増えていきました。我々も渋谷・新宿・池袋と都内のターミナル駅にルイードを出店。原宿こそ07年に閉店しましたが、全体の店舗数が増え、動員力が上がっていきました。
都内から消滅したルイード
しかし、新宿と池袋は20年に閉店を余儀なくされ、21年4月末で渋谷も閉店。都内からルイードは消滅しました。残念でなりません。
原因は無論、コロナ禍です。まず20年2月に大阪のライブハウスでクラスター(感染者集団)が発生し、我々も大きな影響を受けました。出演者や観客の保護者から「ライブを中止にしないのか」というような電話が来ることもしょっちゅうでした。20年4~5月の緊急事態宣言中はほぼ全てのライブを取りやめざるを得なかった。
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