1000年の伝統を持つ山梨県郡内地方の織物産地が危機にひんしている。ビジネススタイルの変化とコロナ禍でネクタイ・スーツ市場が縮小傾向にあるのが原因だ。地域ブランドの確立や産学連携などあらゆる手を講じて生き残り策を探る。

[富士吉田商工会議所繊維部会長]
加々美 好氏
1950年山梨県富士吉田市生まれ。拓殖大学卒業後、京都・西陣の織物問屋での修業を経て、家業の光織物に入る。91年に社長。2020年に会長。09年から現職を務め、織物の地域ブランド確立に尽力している。

 富士吉田市や隣接する西桂町などを中心とする山梨県東部の郡内地方では古くから、織物業が盛んです。主力製品はネクタイ地とスーツなどの裏地です。いずれの市場も「クールビズ」などビジネススタイルの変化で苦しい状況にあるのはご存じの通りですが、ここへきて、新型コロナウイルスの感染拡大で追い打ちをかけられています。

 コロナ禍でリモートワークが定着し、ビジネスウエア離れが進みました。外出自粛の影響で、百貨店やショッピングモールなどでの買い物の機会も減りました。私は1958年設立の織物会社の3代目ですが、ここまでの苦境はこれまで経験したことがありません。

資金不足で廃業する業者も

 どん底だった昨年の7~8月ごろには、注文の電話が全く鳴りませんでした。10月ぐらいから徐々に注文は入るようになりましたが、昨年売れるはずだった在庫は滞留したままで、受注は低迷しています。資金が尽きて、廃業する業者も出ています。

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