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2021年正月の箱根駅伝。最後の最後にまさかのドラマが用意されていた。前半から独走していた創価大学が突如として崩れ、駒沢大学に逆転されて2位に沈んだ。アンカーが襷(たすき)を受けた時の差は3分19秒。リードを守れなかったのは自分の責任と話す。

[創価大学陸上競技部駅伝部監督]
榎木和貴氏
1974年、宮崎県生まれ。中央大学時代は4年連続で箱根駅伝に出場しいずれも区間賞を獲得。3年時は総合優勝に貢献。旭化成に進み、2000年の別府大分毎日マラソンで優勝。19年創価大学陸上競技部駅伝部監督に就任。

 2020年度の目標は、箱根駅伝で3位以内に入ることでした。普段以上の力を出した選手もいましたし、想定を上回るいい流れになりました。テレビの実況アナウンサーは「悔しい2位」と表現されましたが、指導者としては「評価できる2位」だったと思います。

 ただ、優勝が目前だったのも事実です。期待して応援していただいた方々には、残念な思いをさせてしまったという申し訳ない気持ちがあります。

往路4区からトップをひた走ったが、10区の残り2km地点で駒大に逆転された(写真=日刊スポーツ/アフロ)

 敗因は、私の指導力不足に尽きます。確かにアンカーの選手が崩れる形になりましたが、大量リードで襷を受けた彼の微妙な精神状態を見極めきれず、自信を持ってスタートさせることもできませんでした。他の選手を配置していても同じ状況に陥ったと思います。

 駅伝において、メンタル面はパフォーマンスに大きく影響します。レース本番は普段よりも脈拍が速くなり、平常心でいるのは難しい。極端な緊張状態の中では、厳しい練習で培った自信や過去のレースで味わった悔しさといった気持ちの部分こそが、重圧と相手に打ち勝つ原動力となります。

走りに影響するメンタル

 うちのアンカーも襷を受けた時は自分が優勝テープを切るイメージをしていたはずです。ただ、自滅するように崩れ、途中から体が動かなくなった。メンタルが影響したのだと考えています。

完全優勝まであともう一息だった
●創価大学の箱根駅伝成績