京都で200年以上続く老舗酒造で「お家騒動」が起き、父の社長が解任された。親子で新酒開発と構造改革を進めてきたが、資本の論理にあらがえず、自らも蔵を去った。道半ばでの退陣に悔しさが募る。だが、酒造りへの情熱は消えることはない。

[松本酒造前取締役兼杜氏]
松本日出彦氏
1982年生まれ。東海大学卒業後、東京農業大学で酒造りを学び直し、愛知県の蔵元で修業。その後家業の松本酒造へ戻り、2011年から現場責任者である杜氏(とうじ)、直近は取締役も。松本酒造(京都・伏見)は1791年創業の老舗。

 2020年11月、松本酒造で13年社長だった父の松本保博が突如、解任されました。私にとって父は肉親であり新商品の開発と会社の構造改革に共に取り組んできた戦友でもあります。私だけ残る選択はあり得ないと考え、杜氏と取締役の座から降りました。

 解任決議を出したのは新社長とほかの親族。新社長は父にとっておい、私にとっていとこにあたります。コロナ禍で日本酒業界が苦境に立たされ、さらには酒造りが本格的に始まる大切な時期での「お家騒動」は、恥ずかしい限りです。しかも21年は創業230年の節目。私たちが造ってきた日本酒を味わってくれている方、そして飲食店、取引先の皆様にはご心配をおかけしており、本当に申し訳なく思っています。

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