人口減で苦しい状況にある財政難を軽減するため、町営温泉施設7カ所の売却先を公募。0円からの売却譲渡を目指したものの、譲渡先が見つからなかった。町のシンボルを守るため、町民と話し合い、新たな存続策を検討する。

細井洋行氏
岩手県西和賀町では今年8月から、現時点で譲渡が可能な町営の温泉施設7カ所について、民間譲渡を目指して売却先を公募してきました。しかし、結果的に応募は1件もなく、残念な結果に終わりました。


今回、民間譲渡に乗り出したのは、財政負担が増していることから、全施設を町が運営していくことは厳しいと判断したためです。応募がなかったことから、今後は町民自身で運営することは可能なのか、まずは住民の方々の意向を聞きながら、相談していきたいと考えています。
西和賀町には現在、1980~2000年に設置された10カ所の公衆浴場が存在します。自宅に浴槽のない住民向けに古くから整備されてきたものなどもありますが、6カ所については1986年3月に策定された「お湯~とぴあ構想」によって、整備されました。
西和賀町誕生前の旧湯田町で、当時の町長が、「げたを履いて、すぐに入れるほど温泉が数多くある」町の特徴を活用して、まちづくりに役立てようとしたのが「お湯~とぴあ構想」の始まりでした。
この取り組みそのものは、町の発展に大きな役割を果たしたと考えています。住民の健康増進や満足度はもちろん、今も日帰り観光客の7割程度が公共の温泉施設を利用しています。
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