コロナ禍の中、3密回避のために全国で縁日などの中止が相次ぐ。その影響で、金魚すくいが開かれなくなり、金魚の産地が打撃を受けている。人口減に伴う地域コミュニティーの縮小も、逆風になりつつある。

(写真=宮田 昌彦)
(写真=宮田 昌彦)
[やまと錦魚園代表]
嶋⽥輝也氏
1963年奈良県生まれ。近畿大学水産学部を経て家業のやまと錦魚園に加わる。同社は約90年前に嶋⽥氏の祖父が創業し、父が2代目を務めた。金魚すくい向けのほか、観賞用の金魚なども扱っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国で縁日などが中止になった結果、今年は金魚すくいが例年に比べ開かれなくなりました。それに伴い、金魚の需要も落ち込んでおり、産地で養殖などを手掛ける経営者として厳しい状況に直面しています。

 奈良県の大和郡山市は、金魚の有数の産地として全国的に知られており、市内には養殖に携わる企業が多数あります。もともと農家の副業からスタートしたところが多く、市内の農地の周辺には金魚を育てるための池などが点在しています。

 市内では20年ほど前からは毎年、金魚すくいの全国大会が開かれており腕自慢が集結します。周辺には金魚すくいに使う用具の「ポイ」を手掛ける会社や金魚すくいの腕を磨くための道場などもあります。

養殖技術は江戸時代に確立

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やまと錦魚園は有数の産地である奈良県大和郡山市にある(写真=宮田 昌彦)

 やまと錦魚園も同市内にあり、私の祖父が1926年に始めました。創業から90年以上の歴史があり、父が2代目、私は3代目に当たります。6ヘクタールほどの敷地内には養殖用の施設がいくつもあります。7人が働いており、全国に向けて卸と小売りを手掛けています。