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新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環で、観光事業関係者へのPCR検査を導入した。その財源として入湯税も同時に引き上げるといういわば「劇薬」に、一大温泉地が大きく揺れた。安全・安心な街づくりと、観光地としてのもう一段のブランド化には、欠かせない対応だったと話す。

[栃木県那須塩原市長]
渡辺美知太郎氏
1982年東京生まれ、慶応義塾大卒。2013年7月に参院議員。前市長の死去に伴う19年4月の那須塩原市長選に国会議員を辞職して出馬、初当選を果たした。渡辺美智雄元副総理が祖父、行政改革相だった喜美氏は伯父に当たる。
宿泊施設従業員にPCR検査を受けてもらい、その財源は入湯税引き上げに委ねた那須塩原市。渡辺市長は「責任ある観光」にかじを切るべきだと考えたという(検査写真はイメージ、温泉街写真は市提供)
(検査写真はイメージ)(写真=PIXTA)

 那須塩原市では新型コロナウイルスへの対策として10月から、宿泊施設の従業員を対象に定期でのPCR検査を始めました。財源は入湯税の引き上げで対応します。増税ですし、日本で初めての取り組みなので、賛否があると分かってやってきました。ここ那須塩原の温泉街が少なからず動揺し、意見が割れたこと、事業者に不安が広がったことも十二分に理解しています。ただ、安全・安心のためには絶対に必要な措置でした。

静まり返っていた一大温泉地

 新型コロナの影響はこの街にとっても想像以上のものでした。政府による緊急事態宣言と外出自粛ムードの折、特に今年の春先は深刻で、売り上げが出ない、休業を選択せざるを得ない宿泊施設が相次ぎました。観光客の来ないこの街が大型連休中、本当に静まり返っていた記憶がよみがえります。

 市としては6月から、那須塩原市民向けに最大1万円の宿泊キャッシュバックキャンペーンを実施しました。