コロナ禍による利用客減少を受け、4月に約600人のタクシードライバーに一斉に退職を求めた。会社都合の退職で失業手当を支給された方が、ドライバーの生活安定につながると判断したためだ。一連の手法は議論を呼んだが、9月から営業を再開。ドライバーの再募集も進めている。

[ロイヤルリムジン社長]
金子健作氏
1975年、神戸市生まれ。98年慶応義塾大学商学部卒。2002年、不動産業のアイビーアイ(東京・中央)創業。08年、同社傘下のロイヤルリムジン取締役、10年社長。16年からアイビーアイCEO(最高経営責任者)兼務。

 新型コロナウイルス感染症の拡大による利用客の減少を受け、ロイヤルリムジングループは4月8日に約620人のドライバーらに「退職勧奨」を出しました。大部分のドライバーに応じてもらい、事業を停止しました。

 それから5カ月間、新型コロナの情勢を見極めつつ、資金調達や車両の整備、ドライバーの再募集など事業再開に向けて準備を進めました。9月から再出発します。

 「一斉退職勧奨」というやり方が様々な議論を呼んだことは承知しており、従業員やご家族の皆様、お取引先様にはご心配をお掛けしました。このような対応をした理由を説明させていただきます。

不動産業から新規参入

<span class="fontBold">他社にない車種を導入するなどで、事業を拡大してきた</span>
他社にない車種を導入するなどで、事業を拡大してきた

 ロイヤルリムジン(東京・江東)は2008年に設立しました。親会社のアイビーアイ(東京・中央)は中古マンションのリノベーションや不動産売買などの事業を手掛けています。タクシー業への進出は、「タクシー会社の不動産を買わないか」と持ち掛けられたことがきっかけです。興味がわいて調べてみると、タクシーという商売が経営次第で、非常に収益性の高い事業になることを知り、参入を決断しました。

 ポイントの一つは人材確保で、優良なドライバーを集めるため、給与を同業他社より高く設定。他にはないトヨタのミニバン「アルファード」も車種に加えるなど魅力的な環境を整えました。

 営業面では、「流し」だけでなく、羽田・成田空港からのインバウンド(訪日旅行客)らの送迎などを多く手掛けるようにしました。

 そうした結果、事業は順調に拡大し、19年には東京五輪に向けさらに規模拡大を図りました。新たに2社買収したほか、車も新車に切り替え、銀座に営業所を出店。1年で10億円ほど投資し、グループ6社で計約350台の車両を保有するまでになりました。

 しかしそんな状況で、コロナ禍に見舞われることになりました。2月はインバウンドの減少により売り上げが前年同月比で20%ほど減りました。当初は五輪需要で6月ごろには回復すると思っていましたが、3月に入るとむしろ日に日に売り上げが下がっていきました。東京都の外出自粛要請が出た以降は5割以上落ち込み、さらに期待していた五輪中止も決まり、4月には80%減にまでなりました。

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