東京・吉祥寺の人気フランス料理店が30年余りの歴史に幕を閉じた。新型コロナウイルスの感染拡大と外出自粛の機運が経営を直撃した。母から受け継いだかけがえのない店だったが、客足が元通りになる未来が見えなかった。

[フランス料理芙葉亭代表]
中山 葉子 氏
1958年福島県生まれ。国立音楽大学を卒業後、音楽講師に。東京・渋谷でコーヒー専門店を営んでいた中山氏の母が88年、芙葉亭を開業。難病を患った母に代わり2008年から中山氏が代表を務めてきた。

 5月6日の最終営業日をもって、東京・吉祥寺のフランス料理「芙葉亭」を閉店しました。私の母がこの店をオープンさせてから30年余り、私に代替わりして10年余り。たくさんのお客様に来店していただき、感謝の思いが尽きません。閉店理由は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って未来が見通せなかったためです。

 JR吉祥寺駅から歩いて5分、井の頭公園の脇にこの店を開いたのは、母です。渋谷で営んでいた喫茶店のノウハウを生かして客単価を上げるには、レストランをやろうと考えたようです。時はバブル期。シェフ探しも含めて相当手探りだったようですが、特段宣伝もしていないのに、オープン当日から行列ができていたことを思い出します。

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