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北海道名寄市の第三セクター、名寄振興公社で決算改ざんなどの不祥事が発覚。背景には、人材不足や経営陣の現場任せなどがあったとみられる。再生に向けて歩み出したものの、今度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響が直撃した。

[北海道名寄市長]
加藤 剛士 氏
1970年名寄市生まれ。小樽商科大学卒業。家業のホテル・飲食業、名寄青年会議所の理事長などを経て、2010年市長選に立候補して、初当選。 現在、3期目を務める。名寄市は北海道の北部に位置し、人口約2万7000人。

 北海道の名寄市が筆頭株主の第三セクター、名寄振興公社で決算の改ざんが発覚。不明金があることが明らかになったほか、社員の社会保険料の未払いも表面化しました。

 市のトップとして、多方面にご迷惑をおかけしたことについておわび申し上げます。

「安定している」とみていた

名寄市は北海道北部に位置する
振興公社が指定管理する市営の名寄ピヤシリスキー場
同じく管理する道立サンピラーパーク

 振興公社は、名寄市と北海道から6施設の指定管理を受託しています。主な管理施設は隣接した場所にある温泉ホテル「なよろ温泉サンピラー」と「名寄ピヤシリスキー場」です。

 振興公社の経営は少し前に悪化したことがあります。主な原因は、近くに競合施設ができたこと、国内スキー市場の縮小、地域の人口減少などでした。このとき市は振興公社に経営安定補助金を入れました。名寄ピヤシリスキー場に全国規模の大会を誘致するなどしながら業績を徐々に回復。2016年度には再び黒字になりました。

 振興公社からは17年度、18年度も黒字と聞いていました。このため、市としては「振興公社の経営は安定している」とみていました。

 しかし、実態は大きく違いました。16年に就任した振興公社の当時の支配人が決算の数字を3年間にわたって改ざんしていたのです。問題が発覚してから黒字としていた16〜18年度の決算について改めて精査してみると、16年度については確かに黒字だったものの、黒字額を実際よりも大きくしていたことが分かりました。17、18年度に至っては、本当は⾚字だったにもかかわらず、黒字だと申告していました。市から補助金を受けていたため、前支配人には赤字を出せないプレッシャーがあったようです。

 不祥事が発覚するきっかけは、振興公社が受託した施設管理料について「⼀部を第三者に債権譲渡した」との通知書が19年5月、振興公社名で市や道に届いたことでした。