東京地裁は2月、JASRACが音楽教室から著作権使用料を徴収することを認めた。音楽教室側は判決に納得いかないとして、知的財産高裁に控訴している。音楽教育を守る会は「大きな視野で、音楽文化の発展を考えるべきだ」と訴える。

大池 真人 氏
東京地裁は2月、日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室事業者から著作権使用料を徴収することを認める判決を出しました。ヤマハ音楽振興会など364の音楽教室でつくる「音楽教育を守る会」の主張が認められなかったことについては、「驚いた」というのが素直な感想です。
JASRACからヤマハ音楽振興会側に「音楽教室からも使用料を徴収したい」という話が出たのは2003年でした。再び使用料を求めてきたのが14年です。16年には河合楽器製作所など他の音楽教室にも打診をしていることが分かり、業界としてJASRACに対応するために「音楽教育を守る会」を17年に立ち上げ、同年に提訴しました。
今回の地裁判決は「カラオケでの音楽利用」に関する1988年の最高裁判決で構築した法理論(カラオケ法理)をそのまま当てはめた「結論ありき」の判断だったと感じています。
争点となった著作権法22条には「著作者は公衆に聞かせることを目的として演奏する権利を専有する」とあります。一般的なレッスン形態である先生と生徒の1対1、あるいは生徒5人程度のグループレッスンが、「公衆」とは一般的な感覚からはとても思えません。
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