新型コロナウイルスの感染拡大で、3月に開催される予定だった選抜高校野球が中止に。甲子園近くに構える宿泊施設とあって、予約はすべてキャンセルされた。4月以降も予約ゼロの状態が続き、「先が見えない」と苦渋をにじませる。

[ゲストハウス「アンカー」オーナー]
岡本 聡市 氏
1955年、大阪府生まれ。明治学院大学を卒業後、家業だったガソリンスタンド経営「油亀商店」に入社。90年ごろから経営に携わり、2016年に設備を改装してゲストハウスを開業。敷地内でレンタカーショップも営む。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3月19日から開催される予定だった選抜高校野球が中止になりました。私が運営している兵庫県西宮市内の簡易型ゲストハウス「アンカー」は甲子園球場から徒歩圏内にあり、春と夏の高校野球シーズンが1年で最も混み合う時期です。しかし、今春は、予約がすべてキャンセルとなりました。

 近くにある、もう一つの集客拠点である子供向け就業体験施設「キッザニア甲子園」も、3月初旬から臨時休業が続いています。こうした結果、3月の宿泊客はゼロでした。2016年に開業して以来、こんなことは初めてです。世の中全体が大変なことになっているのは分かっていますが、経営はもうむちゃくちゃです。

 敷地内で運営しているレンタカーショップはそれなりに需要があります。とはいえ、宿泊収入がゼロというのは厳しく、日々、貯金が減っています。

石油再編で宿泊業に転身

 ゲストハウスを始める以前は、「油亀商店」という会社名でガソリンスタンドを経営していました。生家は大阪市内に古くからあるガソリンスタンドで、1995年、西宮市の現在の場所にも店舗を構えました。一時は、ガソリン代替燃料として注目された高濃度アルコール燃料、ガイアックスの取り扱いで日本一でした。

 兵庫県に土地勘はなかったのですが、たまたま縁あって、既存のガソリンスタンドを居抜きで購入しました。その後、20年ほど運営してきましたが、ガソリン需要の低迷を背景に、石油元売り大手の統合が進みました。いつまでもスタンド経営を続けるのは難しいと判断し、4年前に宿泊業に転じました。

 ゲストハウスを始めた理由の一つは甲子園球場から近い立地です。高校野球には根強いファンがいるので、好景気でも不景気でも、3月と8月の高校野球シーズンには安定した収入があると見込みました。

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