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大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が、演者の交代と撮り直しで初回放送延期に。この機を街おこしに活用しようとしていた、ゆかりの京都府福知山市も混乱に陥った。関連イベントの内容変更などを余儀なくされ、PR戦略の立て直しを急いでいる。

[福知山光秀プロジェクト推進協議会事務局長]
中野 裕行 氏
1964年、大阪府枚方市生まれ。京都産業大学を卒業し、近畿日本ツーリストに入社。一貫して法人営業畑を歩む。大阪法人旅行支店、神戸支店、浜松支店、福井支店の支店長を務めた後、2019年4月から現職。

 周辺市町も巻き込んだ長年の誘致活動がようやく実った、明智光秀を主人公とするNHK大河ドラマ「麒麟がくる」でしたが、出演予定だった女優の沢尻エリカさんが麻薬取締法違反の疑いで逮捕、起訴され、初回放送が2週間遅れる異例の事態になりました。

 放送期間中に福知山城公園の一角にある市立美術館の中に開く「福知山光秀ミュージアム」のオープニングイベントでは、演者を招いてのテープカットやトークセッションを考えていましたが、演者の交代と撮り直しの影響でかないませんでした。また、事件発生当時はミュージアムの前売り券の扱いに関する問い合わせに追われました。

全国では逆臣も、地元では英雄

 光秀に対する、市民の皆さんの敬愛の念は今もなお強く、地元の人の多くが、大河ドラマによる街おこしに期待していました。ここでは、「光秀」と呼び捨てにすると怒られ、「光秀公」と呼びなさいと言われます。地元のボランティアガイドも本当に熱心で、知識も豊富です。

 実際、福知山の街の礎は光秀によって築かれました。福知山城の石垣は、「野面積み」と呼ばれる自然石を巧みに組み合わせたものですが、これは当時のもの。税を軽くし治水工事を行うなど善政を敷いた光秀を慕う領民の気持ちは代々残り、逆臣の汚名を着せられたのを慰めようと光秀の御霊を祭った神社が江戸時代には建立されています。