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子育て世帯を呼び込もうと、全国の自治体が子供医療費の無償化に動く。だが財政難に直面した三田市は完全無償化を断念し、外来に原則400円の自己負担を求めた。不満の声はなお残るが、「持続可能なまちづくりのためにはやむを得ない措置だった」と語る。

[兵庫県三田市長]
森 哲男 氏
1952年生まれ。大阪大学法学部卒、兵庫県庁へ。県健康福祉部少子局長などを経て、2015年7月の三田市長選で初当選。現在2期目。三田市の人口は約11万2000人で、かつては10年連続で「人口増加率日本一のまち」を誇った。

 2015年夏に市長に就任して以来、財政再建に努めてきました。その中で子供医療費を見直し、小中学生には外来1回あたり400円を負担してもらう制度に変えました。全国各地の自治体で進む完全無償化の流れとは一線を画す形になり、制度変更当時も今も不満の声があることは理解しています。ただこの三田市を持続可能なまちにするためにはどうしても避けられない措置でした。以下、経緯を説明します。

 子供医療費の完全無償化を三田市で決めたのは、私が市長に就任する約半年前です。段階的に無償化対象の年齢を引き上げ、15年度時点で、中学校3年生までの入院・通院にかかる医療費負担はすべての世帯でゼロにしました。

 政策の狙いとしては「子育て世帯を応援して市のブランドイメージの向上につなげよう」ということだったと推察しています。ただ忘れてはいけないのは、各世帯にとっては見かけ上、医療費の負担がゼロであっても、そのお金は市財政、つまり税金で補填しているということ。私にもこれで良いのかという思いがかねてありました。