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「リクナビ」に登録した就活生の「内定辞退率」をAI(人工知能)で予測し、企業に販売していた。就活生の同意を得ておらず、政府の個人情報保護委員会から勧告を受けて、サービスは廃止に。組織体制は抜本的に見直したが、「リクルートの体質は変えない」と主張する。

[リクルートキャリア代表取締役社長]
小林大三 氏
1991年4月にリクルート入社。広報室、新規事業開発室、経営企画室などを経て、2012年の分社時にリクルートテクノロジーズ社長に就任。17年4月から現職。18年からリクルート執行役員を兼務。19年、同常務執行役員。(写真=吉成 大輔)

 「リクナビDMPフォロー」に関する問題で、様々な方に大きなご迷惑をおかけしました。学生が就職活動に相当なプレッシャーや不安を感じているなか、それをあおることになってしまった。応援する大学や保護者も含め、もう説明もできないくらいの問題を起こしてしまいました。

2019年8月26日に個人情報保護委員会から勧告を受けると、同日、会見を開いて謝罪した

 「リクナビ」というサービスを信じて使ってくれていた企業も、個人情報保護委員会による社名公表も含めて、世間からの批判にさらされることになってしまいました。弁明の余地もありません。それくらい大きな問題だったと捉えています。

 3つの事象がかけ合わさって今回の問題が起こったと考えています。

 まず、DMPフォローが研究開発段階のサービスだったこと。

 通常のサービスであれば、事業化に当たって様々なチェックを受けるフローが社内で整備されています。例えば、エリア限定の小冊子やウェブサイトなどの通常商品を作る場合、編集面で表現上の問題はないか、システムに脆弱性はないか、契約の結び方は適切かなどを網羅的にチェックすることになっています。

 研究開発段階のサービスでは、こうしたフローが整理されていなかった。DMPフォローでは、事業部門が協力しながら、「今回はこういうチェックの進め方をしよう」と判断していた。その進め方に、通常のサービスに比べて緩い部分がありました。

 2つ目は、個人情報やデータの利活用というテーマが含まれていたこと。このテーマは法律の解釈が非常に難しい。しかし、我々は担当者だけで判断してしまった。法務部門への相談は経ていましたが、こうした難しいテーマに対しては、リクルートグループ全体で取り組むべきでした。

日経ビジネス2020年2月3日号 26~29ページより目次