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プロ野球独立リーグの福井ミラクルエレファンツを運営する福井県民球団が清算を決めた。約10年運営する中、一度も黒字化できず、存続を断念せざるを得なかった。幸いチームの引受先は見つかったが、県民球団が苦しんだ観客減を乗り越えられるのか。

[福井県民球団社長]
新谷隆美 氏
1949年生まれ。成蹊大学卒業後、福井新聞で記者として30年以上勤務。政治経済を主に担当し政治家取材が長い。その後は福井新聞社で事業局長などを務め、2010年から現職。福井県出身。中学まで野球に親しみ、ポジションはサード。
SUMMARY

福井県民球団清算の概要

プロ野球独立リーグルートインBCリーグに所属する「福井ミラクルエレファンツ」を運営する福井県民球団(福井市)が2019年10月、20年シーズンのBCリーグ加盟更新を見合わせ会社清算の手続きに入ると発表。赤字続きで存続を断念した。その後YouTubeで野球番組を流す「トクサンTV」の支援で新運営会社が設立され、球団解散は免れた。

 球団は2007年にできたスポーツコミュニティ福井という会社が運営を始めました。ですが設立から2年間で約8000万円の赤字を出し立ち行かなくなり、福井新聞社で事業局長だった私のところに助けを求めに来たのです。

 最初、私は経営者ではないから無理だと断ったのですが、社長のところにも来てお願いされ、最終的に引き受けました。独立リーグといえど福井県から野球チームをなくしてはいけない、子供たちの夢やプロに行けなかった人たちの受け皿が途絶えてしまう、という思いが勝ったのです。

 10年に福井新聞社の全額出資で改めて福井県民球団を設立、資本金300万円でスタート。私は球団社長に就任しました。私の使命はまず、経費を抑え業績を改善することでした。

 例えば東京出張は新幹線を使わずに全て車を使い、1人当たりコストを抑えるために仕事をまとめ、できるだけ2人で行くようにしました。宿泊はルートインです。プロ野球のスカウトが選手を見に来てくれる時は接待もしますが、自分たちの飲食費は自腹でした。

 おかげで年間の赤字額は当初の約4000万円から1500万円程度にまで減り、18年は過去最少の900万円まで減りました。ですが結局10年間やって一度も黒字にはなりませんでした。18年は3選手がプロ野球に行ってくれたので、支度金と年俸の一部が対価として臨時収入の形で入ってきただけで、経営が改善したわけではありません。