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生産量が過去最低にもかかわらず、茶価が低迷するという異常事態に静岡県が見舞われている。急須で淹れる茶葉の需要はペットボトル入りなど緑茶飲料に押され低調が続く。10連休も新茶商戦に水を差した。生産性に勝る鹿児島県に追い上げられる中、日本一の茶どころを守ろうと知恵を絞る。

[静岡茶市場社長]
内田行俊 氏
1953年静岡市生まれ。駒沢大学卒業後、静岡茶市場に入社。2015年から現職。1956年に県や農協、茶商、生産者らが出資して設立した同市場の主な収益は取引価格に連動する販売委託手数料で、市況の低迷は収益減に直結する。
SUMMARY

生産減少も茶価低迷の概要

静岡県では2019年、荒茶の生産量が過去最低となるにもかかわらず、相場が低調という異常事態が起こった。ペットボトル入りなど液体で売る緑茶飲料が普及する中で、急須で淹れる茶葉の需要が縮小。5月の新茶商戦も10連休で水を差された。規模が大きく量産に適した鹿児島県の追い上げもあり、日本一の茶どころは危機にひんしている。

 静岡県では2019年、荒茶生産量が過去最低となる中で、相場も低調という異常事態に直面しました。荒茶とは、茶畑から摘んだ直後に加工した半製品のことですが、春先の冷え込みや雨不足によって、芽の伸びが抑えられたことで生産が落ち込みました。生産量が少なければ、価格は上がるはずですが、そうした動きにならないのは需要の縮小が原因です。

 ティーバッグも含めた茶葉から淹(い)れるリーフ茶の需要は低迷しています。総務省の家計調査を見ても、1世帯当たりの消費量は、07年に1038gだったのを最後に、1kgをずっと割り込んでいます。さらに18年は798gと、800gすら割り込みました。うちの推計では19年の上半期は前年よりも減っていて、過去最低を更新する可能性もでてきています。

 保存技術が進歩し、緑茶は2~3年先でも品質が変わらないようになりました。窒素封入して、マイナス25~30度の冷凍庫に入れておくとほとんど変質しない。これはほかの野菜などとの大きな違いで、緑茶の消費が減る中で、バイヤーである茶商の多くは在庫を抱えています。