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強豪として知られる市立尼崎高校バレーボール部で生徒が大けがをする体罰が発覚した。教育委員会が市内の学校を対象にアンケートをすると9割近い学校から体罰が申告された。教員の意識改革に加え、学校や教育委員会といった組織のガバナンス改革の必要性も訴える。

[尼崎市教育委員会教育長]
松本眞氏

1979年生まれ。2005年に東京学芸大学大学院教育学研究科を修了し文部科学省に入省。初等中等教育局などを経て13年に内閣事務官。15年に生涯学習政策局情報教育課課長補佐、18年から現職。

SUMMARY

尼崎高校での体罰の概要

全国制覇の経験もある尼崎市立尼崎高校男子バレーボール部で、コーチが部員を10回以上平手打ちし、生徒は一時意識を失い鼓膜損傷など全治2週間のけがを負った。その後、硬式野球部でも体罰が発覚した。一方で学校側は当初、けがはないと報告するなど体罰を隠蔽しようとしたとして、稲村和美尼崎市長が謝罪会見する事態になった。

 最初に教育委員会の職員から尼崎高校のバレーボール部で体罰があったようだと聞いたとき、「体罰はいけないことで学校に非があるのだから、事実ならすぐ公表しなさい」と高校担当の課長に指示しました。そこで教育委員会として学校に聞き取りをしたところ、「練習中にコーチが平手打ちをしたがけがはなかった」との説明を受け、教育委員会もそう公表しました。

 しかしその後に報道で、けががないどころか気絶して鼓膜も破れていたと流れ、驚きました。体罰が当初発表した内容よりも相当ひどいということがわかったのであれば、1回目の不正確な公表を訂正しなければいけない、市民にきちんと説明しなければいけない、と2回目の発表に至りました。

 なぜ1回目と内容がひっくり返ったのかと大いに関心を持たれ、マスコミの取材攻勢が始まりました。誰かが隠蔽したのではないか、と当然思いますよね。私も校長と教頭を呼んで、何をやっているのか、と強く指導しました。

限りなく隠蔽に近い行為

 本来であればバレー部の顧問とコーチが真っ先に管理職に報告すべきだし、管理職も細かに事実を把握すべきでした。実際、体罰を加えたコーチはかなり詳細な報告メモを作り教頭に渡しています。一方、監督は事実をかいつまんだメモを教頭に渡しました。そして教頭は監督のメモをもとに校長への報告メモを作ったのですが、コーチの供述書も添付して校長に渡しています。

 監督は明らかに隠蔽でしょう。教頭も限りなく隠蔽に近いと思います。校長は不祥事があれば細部までチェックして教育委員会に報告すべきなのに、教頭の報告をうのみにするのは管理職として不適切としか言えません。