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ITベンチャーの「よりそう」(東京・品川)が僧侶手配サービスのアマゾンへの出品を取りやめた。出品を巡っては仏教団体が「宗教行為をサービス化している」と批判の声を上げていた。今後、僧侶手配事業は、自社サイトのみで取り扱う。

[よりそう お坊さん手配事業部部長]
小野敬明氏

1987年広島県生まれ。2009年慶応義塾大学法学部卒。外資系コンサルティング会社や別のITベンチャーを経て、社会課題に取り組む企業で働きたいと考え、17年4月によりそう入社。18年9月、お坊さん手配事業部部長。

SUMMARY

アマゾンへの出品終了の概要

ITベンチャーの「よりそう」が10月、大手ECサイト「アマゾン」への僧侶手配サービス「お坊さん便」の出品を終了すると発表した。アマゾンのサイト上では、よりそうが考える供養の役割を十分に説明できず、誤解を与えてしまうと判断したため。同社がアマゾンでの取り扱いを始めた後、仏教団体は「宗教行為を商品にしている」と批判の談話を出していた。

 よりそうは10月24日から僧侶手配サービス「お坊さん便」の大手ECサイト「アマゾン」への出品を取りやめました。仏教界との話し合いなどを通じ、お坊さん便による供養の重要性を十分に世間に伝えられず、仏事の意義や必要性に対し誤解を広めてしまった可能性があるとの判断に至ったためです。

 アマゾン出品を巡っては仏教諸宗派が加盟する公益財団法人全日本仏教会が「宗教をビジネス化している」などと批判の談話を公表していました。出品終了の経緯について、お坊さん便の事業を統括する私から説明いたします。

 2009年創業のよりそう(旧みんれび)は、葬儀や終活など人生の最期に必要なサービスのプラットフォーム構築を目指すITベンチャーです。現在の従業員数は約110人で、国内で先駆けてインターネットを使った葬儀手配サービスを手掛けてきました。

 「お坊さん便」を始めたのは13年。葬儀手配サービスを展開する過程で、利用者から「葬儀だけでなく、僧侶も手配してほしい」との要望を数多く頂いたことを受けて、事業化しました。

 利用者の中心は首都圏や大阪など都市部に住む60歳前後の方たちです。彼らの両親の多くは地方からの移住組で、亡くなった後、子供たちが葬儀を開こうと思っても、葬式や法事を依頼する寺院である「菩提寺」がない場合が多いんですね。どのように僧侶を呼ぶか分からないという人もいます。

 一方、「お坊さん便」に登録している僧侶は、地元に限らずより供養の機会を持ちたいと思っていたり、将来的に寺院を自ら開く開教のための足掛かりをつくりたいと考えていたりする人たちです。僧侶からの問い合わせは多く、現在1300人以上が登録しています。

 事業化に当たっては、供養で難しいと思われる仕組みの解消も目指しました。僧侶に依頼したとき、「お布施」をいくら渡せばよいのか悩む人は少なくありません。地域ごとに相場はあるようですが、「お坊さん便」では、車代や心づけを全て含んだ費用として、読経は初回で3万5000円(2回目から4万5000円)、戒名授与は2万円からと支払額を明確化しました。

日経ビジネス2019年11月25日号 86~87ページより目次