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8月上旬から中旬、札幌市の住宅街にヒグマが出没。人を恐れなくなったため、同市は銃で駆除した。全国から「かわいそうだ」とする苦情が相次いだが、クマの出没情報は年々増え、緊迫度は高まっている。少子化や人口密度の減少に伴い、人間とクマの生活圏が近づいてきていることが背景にあるという。

[札幌市環境共生担当課長]
金綱良至氏

1968年生まれ、大阪府育ち。北海道大学農学部に進学し、同大学大学院環境科学研究科を修了。93年札幌市に入庁。下水道関連や保健所、環境保全に長くかかわり、2018年4月から現職。札幌市の生物多様性保全などを統括する。

SUMMARY

クマ駆除に苦情殺到の概要

8月3日から14日にかけて、札幌市南区の住宅地にヒグマが連日出没した。当初は朝になれば山に帰っていたが、徐々に人を恐れなくなり、日が昇っても居座るようになった。このため、札幌市は危険度が高まったと判断、猟友会と協力して駆除した。処分を受け、全国からは苦情が殺到。同市は市民の安全確保と道内外からの非難に挟まれる格好となった。

 8月3日から14日にかけて、札幌市内の住宅街に1頭のヒグマが出没しました。夜間だけでなく、日が昇っても居座るようになり、畑を荒らすなど徐々に行動がエスカレートしました。当初は山に追い返す策を講じましたが、人を恐れなくなった段階で危険と判断し、最終的にはハンターの公益団体である「猟友会」と協力して駆除しました。

 銃による駆除の発表を受け、その後の1週間強で全国から約600件のご意見をいただきました。北海道外からは「かわいそうだ」「麻酔銃を使って山に戻すべきだったのではないか」「捕まえて動物園に入れればいい」といった否定的な意見が多くありました。ただ、市民生活の安全を守るため、やむを得ない措置だったと考えています。