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全国の建設現場で「高力ボルト不足」が深刻化し、市民生活にも影響が出ている。愛知県みよし市は、ボルト不足で学校給食センターの耐震化工事の延期を余儀なくされた。10月の消費増税をまたぐと、工事費用が膨らむという新たな問題も抱えている。

[愛知県みよし市長]
小野田 賢治氏

1951年生まれ。愛知教育大学卒業後、小中学校教諭。小中学校長、みよし市教育長を経て2013年11月初当選。現在2期目。市にはトヨタ自動車などの工場があり、地方交付税を受けず財政運営できる不交付団体を維持している。

SUMMARY

給食センター工事延期の概要

今夏に予定していたみよし市発注の学校給食センターの耐震化工事を巡って、事業者2社が辞退した。工事に必要な約1000個のハイテンションボルト(高力ボルト)を調達できるめどが立たなかったためで、全国にボルト不足とその影響が広がる。みよし市は工事を1年延期することを決めており、8月の再入札では、辞退した2社と別の業者が落札している。

 今夏に予定していた、みよし市の学校給食センターの耐震化補強工事を1年延期しました。理由は、工事に必要なハイテンションボルト(高力ボルト)の調達のめどが立たなかったためです。行政でできることは限られておりやむを得ない判断ですが、想定外の足かせには事態の推移を見守るほかありません。以下、経緯を説明します。

 みよし市は、公立の小学校8校と中学校4校、保育園7園向けをあわせて、1日約7200食の給食を提供しています。給食づくりを一手に引き受けているのが市立の学校給食センターです。市内外の関係者がみな、おいしいと言ってくれる自慢の給食です。

 このセンターは2003年から稼働しており、14年に天井の一部の剥落と、ひび割れを確認しました。建築基準法で定める耐震基準は満たしているのですが、給食は子どもたちが食べるものですから安心・安全が第一。パーフェクトな環境を整える必要があると考え、従来の「つり天井」をやめ、全面的に改修することに決めました。

 16年から3期に分けて工事を進める計画になっており、これまでに2億6000万円分の工事を終え、今年度には最後に残った約8000万円分の工事を予定していました。学校給食センターの場合、大規模な工事は学校が夏休みの間しかできません。授業が始まる9月にずれ込むことがないような工事期間を想定していました。

みよし市は1日約7200食の給食を提供している。学校が長い期間休みでないと工事ができない背景もある
日経ビジネス2019年9月9日号 78~79ページより目次