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経営の第一線から退き、今注力する社会貢献活動の核となる会社で、法人税の申告漏れを指摘された。高価な楽器を減価償却の対象にするという、いわば初歩的なミスには「恥ずかしい限り」と反省しきりだ。自分のためのぜいたくは恥、人のためにお金をできるだけ使う。信念をこれまで以上に貫く考えだという。

(写真=早川 俊昭)
[カレーハウスCoCo壱番屋創業者]
宗次德二氏

1948年生まれ。不動産業を経て喫茶店を開業。78年に「カレーハウスCoCo壱番屋」を創業し、98年会長。2002年に経営から退いた。現在はクラシック音楽普及、奨学金支援、助け合い推進活動をするNPO法人理事長などを務める。

SUMMARY

20億円申告漏れの概要

宗次氏の資産管理会社で音楽ホールを運営する「ベストライフ」が、名古屋国税局の税務調査を受け、法人税約20億円の申告漏れを指摘された。イタリア製のバイオリン「ストラディバリウス」など、本来は減価償却できない高価な楽器を会社の経費として計上していたためだ。過少申告加算税を含む追徴税額は約5億円で、すでに納付した。

 2002年に「ココイチ」の経営から退き、持ち株譲渡などで得た28億円を投じてクラシック専門の音楽ホール「宗次ホール」を設立しました。07年のことです。ベストライフは資産管理とともに、この宗次ホールの運営・管理をしている会社で、妻が社長、私は取締役を務めています。

 このほど、名古屋国税局から法人税の申告漏れを指摘されました。金額は20億円でした。経営者を長年やってきたのにもかかわらず、このような事態になり、「恥ずかしい」の一言に尽きます。以下、経緯を説明します。

私も税理士も「無知だった」

イタリア製のバイオリン「ストラディバリウス」。本来、高価な楽器は減価償却ができない(写真=つのだよしお/アフロ)

 ベストライフでは、若手音楽家を育てていく目的で、イタリア製のオールドバイオリン「ストラディバリウス」など高価な楽器30丁を管理し、無償での貸し出しをしています。

 2年ぐらい前だったと記憶していますが、担当の税理士から「高価な楽器であっても、貸与している限りは全部、減価償却できる」「税務署員の確認もとっている」と説明を受けました。

 しかし、冷静に考えたら償却できるわけがない。ストラディバリウスなどを経費計上していましたが、誤りでした。昨年秋に名古屋国税局が調査に来た時、税理士も「いつ、どこの、誰に聞いたのか」と詰められていました。