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コメの直接販売に積極的だった秋田おばこ農業協同組合で巨額の累積赤字が発覚。原因は集めたコメに対する収支管理が不十分な点にあった。職員の給与削減、資産売却なども進めながら再建を進め、組合員の信頼回復を図る。

[秋田おばこ農業協同組合代表理事組合長]
小原正彦氏

1953年秋田県生まれ。横手高校卒業後、六郷町(現美郷町)役場に勤務しつつ農家の3代目として兼業で農業に従事。2017年6月にJA秋田おばこの理事に就任。17年10月から美郷町議。町議を辞職して19年3月から現職を務める。

SUMMARY

コメ直接販売巨額赤字の概要

秋田おばこ農業協同組合(JA秋田おばこ)はコメの卸業者に対する直接販売に力を入れたものの、管理体制の甘さから大幅な赤字を計上。第三者調査員会の報告書では2018年3月時点で直接販売の累積赤字が約62億8000万円に上ることが明らかになった。直接販売を中止し、資産売却やコストカットも行いながら経営再建を進めている。

 秋田おばこ農業協同組合(JA秋田おばこ、本店:秋田県大仙市)では、コメの直接販売をめぐって巨額の累積赤字が発生していることが判明。管理体制の甘さが明らかになりました。組合では経営再建に向けてさまざまな取り組みを進めてます。

秋田県大仙市の秋田おばこ農業協同組合の本店。秋田で最大規模のJAで組合員数約2万9000人

「度量に見合っていなかった」

 JA秋田おばこは1998年、現在の大仙市、仙北市、美郷町にある20の農協が合併して発足しました。合併した時点ではコメの年間販売額が日本一で話題となりました。現在の組合員数は約2万9000人で、秋田県で最大規模です。近年は後継者不足などから、営農の集団化も進んでいます。

拠点を置く秋田の県南エリアは有数のコメ産地として知られる

 JA秋田おばこのある県南エリアはコメは「あきたこまち」の栽培が大半であり、県内でもおいしいコメの産地として知られています。合併前までそれぞれのJAはコメの販売について当時の県経済連に依存していました。が、合併でJA秋田おばこができると、販売業務の担当者を配置するなどしながら、卸売業者にコメを直接販売することに力を入れていきました。ピーク時には集めたコメの85%ほどが直接販売であり、全農あきたを経由することなく自ら開拓したルートで販売していました。今から振り返っても先進的な取り組みであり、農家の所得向上に向けて非常に意義のある試みであったと思います。このため、私は直接販売自体が間違っていたとは思っていません。

日経ビジネス2019年8月5日号 88~89ページより目次