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日本郵船傘下の航空貨物大手、日本貨物航空で整備部門の不正が昨年、発覚した。整備人員や中間管理職の不足などが背景にあり、対策のために機体数削減に踏み切った。国土交通大臣の改善命令から1年を機に「再び成長路線を模索していく」と語る。

[日本貨物航空社長]
大鹿 仁史氏

1982年、東京大学法学部卒、日本郵船に入社。2009年、同社経営委員。13年、取締役・経営委員。16年、常務経営委員兼日本貨物航空専務。18年4月から現職。

SUMMARY

日本貨物航空改善命令の概要

昨年6月、国土交通省からの立ち入り検査の結果、機体の整備記録に事実と異なる点が見つかったとして、日本貨物航空は全便の運航停止を決定。国交省は同年7月、不適切な整備や整備記録の改ざんがあったとして、同社に事業改善命令と業務改善命令を出した。機体の毎年の安全性検査を免除する「連続式耐空証明」が取り消される事態となった。

 1年前の昨年7月、マニュアルと異なる不適切な整備、整備記録の改ざんと隠蔽、そして国土交通省への事故の報告遅れなどの法令違反が判明し、日本貨物航空(NCA)は国土交通大臣から事業改善命令と業務改善命令を受けました。

 一部の社員が引き起こした問題ではなく、組織に根差した大きな問題だと認識し、この1年間、対策に取り組んできました。問題の裏にある背景や間接的な要因まで突き詰めて除去しなければ、同じことを繰り返してしまいます。特に組織的な体質は改善が難しく、今後も本腰を入れて取り組んでいかなければいけません。

いつの間にか過剰運航に

 弁護士も交えた調査委員会からは、社内のマニュアル不備やコンプライアンス意識の鈍麻など、様々な理由が指摘されました。対策として、社内規程の中で有名無実化しているものがないかの再チェック、整備の資格制度の改善、外部専門家によるコンプライアンス体制の見直しなどを進めてきました。

 中でも特に優先して取り組んできた問題が、組織としての能力を超えて貨物機を飛ばしていたことです。

 その直接的な要因は、2012年から導入した新型機に想定外の不具合が頻発したことがあります。対応のために新しい仕事が出てきて、そのために他の仕事が遅れる。負のスパイラルに陥ってしまいました。

新型機で想定外のトラブルが多発した結果、業務量が増えてしまったことが整備不正の背景にあったと大鹿社長は話す(写真=アフロ)
日経ビジネス2019年7月29日号 118~119ページより目次