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長崎県佐世保市は92年間運行してきた市バスの運行に幕を閉じた。背景には近い将来の赤字見通しに加えて、運転手不足なども重なった。佐世保のバスは民間による運行一体化がスタートした。

[佐世保市企画部次長]
山元 義崇氏

1967年長崎県生まれ。佐賀大学卒業後、佐世保市役所に入庁。2006年から交通局所属となり、交通局総務課長を経て現職。佐世保市は長崎県の北部に位置しており、人口は約24万8000人。

SUMMARY

市バス廃止の概要

長崎県佐世保市で3月24日、路線バスの運行一体化がスタート。市の交通局が運営する市バスと、同市が100%出資するさせぼバス(同県同市)、同市を中心に西肥バスを運行する西肥自動車(同県同市)による体制から一体化された。背景には、将来にわたって事業の赤字が続く見通しなどがあった。市バスは92年の歴史に幕を閉じた。

 長崎県の佐世保市は3月23日、1927年にスタートして以来、92年にわたって運行してきた市バスの歴史に幕を閉じました。レモン色の市バスは本当に長い間、市民に親しまれてきました。それでも地域交通の将来を見据え、「地元の足」を守っていくために、このたび苦渋の選択をすることになりました。

 市バスの路線は3月から、地元のバス会社である西肥自動車(同市)に移管。佐世保市内のバスは同社の元にほぼ集約されました。これに伴い、市バスを管轄してきた市交通局も3月末、廃止となりました。

最盛期は半世紀以上前

 佐世保の市営バスは当初、市の土木課自動車係の管轄で運行が始まり、52年に交通局となりました。市の中心部と古くからの住宅街を結ぶ路線などを中心に運行してきました。

 最盛期は半世紀以上前の65年度であり、輸送人員は4219万人に達していました。しかし、その後は、モータリゼーションの広がりなどによって輸送人員が次第に減っていきました。2017年度は最盛期の約5分の1の882万人にとどまりました。

 輸送人員の減少が進むなか、市バスの収支は早くから厳しい状況でした。74年には地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律の下、5年間、財政再建を実施。それでもなお経営は厳しく、95年から5年間、再び同じ法律の下で経営の健全化を進めました。2004年には、市長の諮問機関である市交通事業経営審議会が市営バスの在り方について諮問。2度にわたる経営改善計画に取り組みました。

日経ビジネス2019年7月22日号 78~79ページより目次