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世界遺産の屋久島で5月、縄文杉を訪れた登山客ら300人超が豪雨による土砂崩れで孤立した。山岳ガイドも30人含まれており、安全な登山を助けるはずの山のプロも危険性を予測しきれなかった。観光協会などは再発防止策を検討している。

[屋久島観光協会理事・ガイド部会長]
中馬 慎一郎氏

1972年、鹿児島県屋久島町生まれ。大阪市での6年間の会社員生活を経て町に戻り、2002年からダイビングや山岳ガイドを務める。17年から屋久島観光協会理事・ガイド部会長。屋久島公認ガイド。

SUMMARY

豪雨で300人超孤立の概要

世界遺産に登録されている鹿児島県屋久島町で5月18日、豪雨による土砂崩れが複数発生し、縄文杉への登山口につながる道も寸断された。登山客やガイド計314人が孤立してバス車内や山小屋で一夜を明かし、19日に警察や自衛隊に救助された。登山道も山肌から水があふれ、ガイドがロープを使って誘導した箇所もあった。捻挫など3人が軽傷を負った。

 5月18日に屋久島町を襲った豪雨で、名所の縄文杉やヤクスギランドを訪れていた314人の登山客らが道路の寸断により一時孤立しました。このうち、ガイドも30人含まれていました。

 私たち観光協会のガイド部会としても今回の対応をしっかり検証し、町や県とも連携しながら対策を練っていく必要があると考えています。

 まず、町や観光協会のガイド向けルールでは、気象庁から「警報」が出ている場合は登山ツアーを実施しないことになっており、その場合、大半の客が利用する荒川登山口行きバスも運休になります。3~11月は登山口までマイカーも規制されていますから、ツアー客、個人客にかかわらず警報が出れば、原則、現地に向かうことはできません。

 ただ、豪雨当日を振り返ると、気象庁は午前5時半ごろに昼過ぎから雨が激しくなるという気象情報こそ発表していましたが、朝の時点で警報は出ていませんでした。実際、午前6時ごろまでは、傘を差さなくてもよい程度の雨しか降っていない状況で、このためバスは運行していました。

 それが一転し豪雨となり、午後2時半ごろに土砂崩れで縄文杉への登山口につながる道路が寸断。気象庁から大雨警報が出たのは、その約1時間後の午後3時25分のことでした。

日経ビジネス2019年7月15日号 74~75ページより目次