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インターネットで養子縁組マッチングを手掛けるNPO法人に事業不許可の判定が下った。以前から養子の募集の表現が誤解を招くなどとして市から指導を受けていた。代表は市の決定に反論している。

[NPO法人全国おやこ福祉支援センター代表理事]
阪口 源太氏

1976年生まれ。2013年まで中古パソコンの通販会社経営。事業譲渡し14年にNPO「インターネット赤ちゃんポスト」を立ち上げ、15年NPO法人設立。現在は保育園の運営などを手掛ける。

SUMMARY

養子縁組事業の不許可の概要

大阪市が3月、養子縁組児童保護法に基づく養子縁組あっせん事業許可を認めない決定を同センターに出した。あっせん1件あたり50万円を受け取っていることなどが理由。2018年の同法施行であっせん事業は届け出制から許可制に移行しており、移行措置として決定までは事業継続が認められていた。不許可は初のケース。同センターは活動を休止している。

 2018年の養子縁組児童保護法の施行を受け、養子あっせん事業が届け出制から許可制に変更になりました。これを受け、15年より同事業を手掛けていた私どもも、大阪市に対し事業許可の申請をしていましたが、今年3月、不許可の決定が下ってしまいました。活動を休止せざるを得なくなり、あっせんに関する記録は市に引き継ぎました。

 マッチングが成立し、いよいよ縁組の段階にあった案件も2件あり、養親となる予定だった方は大変ショックを受けていました。関係者の方々には多大なるご迷惑とご面倒をおかけしまして申し訳ございません。利用者からは「可能であれば再開してほしい」との声が出ており、寄付も届いています。

自らも養子を迎え事業化

 あっせん事業を始めたきっかけは5年ほど前に自らが養子を迎えたことでした。当時、妻と不妊治療もしましたがうまくいかず、住んでいた大阪府堺市に特別養子縁組の希望を出し、市の研修や家庭訪問も受けました。ただ、自治体による実績は少なく見込みが高くなさそうで、いつ迎えられるのか分からない。そこで、自分で動いたほうが早いと考え、インターネットでマッチングを図る事業を始めたのです。15年から法人化しました。

 これまで110組の養子縁組が成立しました。常に養親希望が200組ほどおり、成立まで半年から2~3年というケースが多いです。年収や親の年齢、養子縁組への考え方をスコア化し、スコアを基に産みの親とマッチングします。

 市の今回の決定には納得がいかず、不服審査請求をしています。市は処分理由として、養親希望者からあっせん1件当たり50万円受け取っていることや、アプリの登録料として月額3000円を課金していることなどが、手数料以外の徴収を禁止している法律などに抵触しているから、としています。

 ですが、私個人としては事業開始以来、報酬を全く頂いていません。受け取っているのは、マッチングのためのシステム費や全国にいるスタッフの人件費など必要経費です。

 市からは「届け出場所以外で事業運営していたこと」も不許可決定の理由とされましたが、外部委託の形で設けていた21の支部が問題とされたようです。しかし、この事業は全国ですぐ駆け付けられる体制が欠かせません。

日経ビジネス2019年6月17日号 74~75ページより目次