給与などの待遇よりも、事業内容や想いを伝え、会社と人をつなぐ情報サービスが支持を集める。採用後の定着・活躍を推進するサービスも展開。仕事で心を躍らせる人を増やすことを目指す。

「はたらく」を面白く。企業の「想い」を前面に出し、企業と働きたい人とをつなぐ。ビジネスSNSの可能性に挑むウォンテッドリーの仲暁子CEO(写真=吉成 大輔)
「はたらく」を面白く。企業の「想い」を前面に出し、企業と働きたい人とをつなぐ。ビジネスSNSの可能性に挑むウォンテッドリーの仲暁子CEO(写真=吉成 大輔)

 「日本酒を海外へ。事業開発・企画担当者募集」「自由度の高い職場でエンジニアを募集」……。ウォンテッドリーのサイトには、様々な企業の求人バナーが並ぶ。クリックすると、各社の世界観を表すデザインのページに飛び、事業に懸ける想いや計画などのストーリーが表示される。だが、一般的な転職サイトが最初に表示する、年収や福利厚生制度といった採用条件は見当たらない。想いを伝えるコンテンツに注力する異色の求人サイトだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 あえて、待遇を前面に出さない理由について、仲暁子最高経営責任者(CEO)は「『年収1000万円以上』といったくくりのみで検索しても、自分に合った会社を見極めることはできないと思う。お金だけではない大事な仕事に出合ってもらいたい」と説明する。

 求人に応募する場合は、まず「カジュアル面談」と呼ばれる、企業と候補者が形式にとらわれずに情報交換する場に参加するのが決まりだ。その後、正式選考に進む意思があれば年収など待遇が情報共有される。

 なぜこんな遠回りをするのか。決して転職ありきでなく、ビジョンや価値観に真に共感できる会社を見つけてほしいとの考えを込めたサービス設計だという。結果として「仕事に心を躍らせる人を増やしていく」のがウォンテッドリーの狙いだ。

人材の定着、活性化支援も

 大手も含め数々の転職サイトがテレビCMに多額の広告費を投じて知名度を高め、応募者数の獲得にしのぎを削る──。そんなレッドオーシャンである求人サイト市場を主戦場としながら、ウォンテッドリーは2012年のサービス開始以来10年で、登録ユーザー数を350万人にまで伸ばした。だが、成長余地はまだ大きい。「(現状は)日本の労働力人口の6900万人の5%に相当するが、転職を考える人は1000万~2000万人ほどいると推定している」(コーポレート担当執行役員の兼平敏嗣氏)

人材の流動化を追い風に成長
人材の流動化を追い風に成長
●ウォンテッドリーの営業収益推移

 仕事のマッチングに加え、社内報やチームマネジメントのツールを活用して、働く人のモチベーションを上げ、定着・活躍を推進する「エンゲージメント」事業にも力を入れる。

 東証マザーズ上場直前の17年8月期に約13億円だった営業収益は、21年8月期に35億円を超え、22年8月期は約45億円と伸長。「お金よりも仕事の面白さ」という発想の人材サイトが、多くの人を引きつける。

次ページ BよりCを向く求人目指す