コロナ禍で免税店事業が立ち行かず、存亡の機に立たされたラオックスが息を吹き返し始めている。目を向けたのが国内客。アジアの食品やコスメを販売する新業態を開発して店舗の急拡大を進める。ギフト販売の老舗「シャディ」をグループの中核事業会社に据え、5期ぶりの黒字化へ自信を見せる。

亜州太陽市場
亜州太陽市場
2021年11月、東京・吉祥寺にオープンした「亜州太陽市場」。中国、台湾、韓国、ベトナム、タイなど、アジア12の国と地域から集めた1400種類以上の即席麺や調味料、お菓子などが商品棚を埋め尽くす

 アジアの街角に迷い込んだかのようだった。ハングルや中国語の簡体字・繁体字が目に飛び込み、壁一面を埋め尽くす即席麺のパッケージは全て異国の文字が印刷されている。

 コンビニサイズの売り場ながら麺類だけで約200種類、調味料に至っては約240種類もある。アジア12の国と地域からえりすぐった1400種類以上の食品がひしめくここは、2021年11月、東京・吉祥寺で開業した「亜州太陽市場(あしゅうたいよういちば)」。ラオックスが運営するアジア食品専門店だ。

 オープン後すぐに客足の絶えない人気店となった。店内では即席麺や調味料、冷凍食品のほか、インドネシアのチキンスープ、ベトナムの麺料理「フォー」の素などが並ぶ。見慣れない商品にも、手書きのポップでおすすめの使い方が紹介されているので、購買意欲をくすぐられる。

インバウンド消失で窮地に

 ラオックスといえば「家電量販店」の印象が強い。しかし、他の量販店との競争激化で経営難に陥り、09年以降、中国の小売り大手・蘇寧グループ傘下で免税店事業を拡大してきた。

 そこへ押し寄せたのが、新型コロナウイルスである。感染拡大による入国制限でインバウンド(訪日外国人)需要が消滅。以前から「爆買い」が一服して苦戦していた免税店事業は、まさに存亡の機に立たされた。20年7月には24店舗あった国内店舗は閉鎖を進め、京都と秋葉原の2店舗まで激減。連結業績は21年12月期まで4期連続の赤字と苦境にあえぐ。

 家電量販店、免税店と2度にわたって基幹事業が頓挫したラオックスが「3度目の正直」を期して大勝負に出たのが、冒頭で紹介したアジア食品専門店だ。新事業を率いるのは飯田健作社長。「今のところ競合はいない。期待通りのスタートを切った」と手応えを口にする。