医療分野の人材サービスとオンライン診療システムで攻勢をかけ、売上高が急拡大している。新規上場後、新型コロナウイルス禍を端緒とした遠隔診療の規制改革の追い風を受け、成長の素地は整った。ただ、学生時代から起業家として活動する創業者にとって、現在地は道半ば。目指すのは世界だ。

オンライン診療システム(左下)で一躍脚光を浴びたメドレー。ただ瀧口浩平社長は足元の業績に満足していない(写真=陶山 勉)
オンライン診療システム(左下)で一躍脚光を浴びたメドレー。ただ瀧口浩平社長は足元の業績に満足していない(写真=陶山 勉)

 「最低年間2倍は成長したい。この2年間には全く満足できていない」。メドレーの瀧口浩平社長はこぼす。

 医療機関向けのオンライン診療システムを主力事業として抱えるメドレーは2019年12月の東証マザーズ上場後、「コロナ銘柄」として市場から大きな注目を浴びた企業の一つだ。株価は一時、公開価格の5倍以上となる7000円台を付けた。

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 実績も伴っている。21年12月期の売上高は108億円となり、19年同期に比べて2倍以上に増えた。EBITDA(利払い・税引き・償却前損益)も12億円の黒字となり、着実に稼ぐ力を身に付けている。

 それでも瀧口氏は自社のパフォーマンスに納得がいかない。その理由もまた、新型コロナウイルス禍にある。

人材サービス部門が稼ぎ頭

人材サービス「ジョブメドレー」が収益源
人材サービス「ジョブメドレー」が収益源

 オンライン診療で知名度を上げたメドレーだが、収益の約7割を稼ぎ出しているのは、祖業でもある医療・ヘルスケア業界向けの人材サービス「ジョブメドレー」だ。

 人材業界では今、採用を進めたい企業などが求職者に直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング」型のサービスが人気だ。

 ジョブメドレーはこの仕組みを医療・ヘルスケア関連の50以上の職種に持ち込んだ。オンラインの活用によって低コストを実現。21年12月時点で登録者数は118万人、利用事業所数は25万超まで規模が拡大した。

 ただ、この事業については「この2年間、完全に向かい風だった」(瀧口氏)。医療現場などでは院内感染の予防などの観点から採用面接を控える動きが広まるなど、人材市場が停滞してしまったためだ。

 ジョブメドレーが主体の「人材プラットフォーム(PF)」事業の21年12月期の売上高は19年同期に比べ9割増えた78億円となった。それでも、「コロナ禍がなければより成長できた」と瀧口氏はもどかしさを語る。

 一方、オンライン診療など「医療PF」事業にとって、この2年は市場環境が一気に整った期間となった。政府はコロナ禍に対応する時限的な措置として、初診からオンラインでの診療を可能とし、診察できる疾患の対象の制限をなくした。

 22年4月からはこれらの措置が恒久化し、医療機関が得られる診療報酬の水準も対面での診察に近いレベルまで引き上げられた。

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